ストロベリースカッシュ《三ツ谷隆》

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「準備良いか？」

『良い訳ないじゃん！モデルなんか初めてなのに！』



高校時代のコンテスト。

あのモデルは結局Aの友達に頼んだ。
理由は単純で、Aのワンピース姿をオレだけの物にしておきたかったから。



「めちゃくちゃキレイだよ」

『やめてよ、恥ずかしい……』

「良いじゃん、こっち向けって」



ファッションショーは終盤に差し掛かっていて、ラストでオレとウェディングドレス姿のAが一緒にランウェイを歩いて終了。



「いよいよだね、タカちゃん！」

「ありがとな、八戒」

『八戒くん、知ってたのね？』



既にウォーキングを終えた八戒が舞台袖で待機するオレ達の元へやってきた。
サプライズを成功させる為に八戒にも色々手伝ってもらったし、今度飯でも奢ってやらねぇとな。



「次、出番です」



そう言われると緊張しながらも笑っていたAから笑顔が消える。
走るのもやめて日焼けをしなくなった肌は白く、カタカタと震えていた。



「大丈夫だって、何かあってもオレが側に居るし」

『隆…』

「今日だけじゃねぇ、これからもずっと居るからな」

『……うん！』



オレの夢。
いつか、オレが作った服を着てAがランウェイを歩く事。

その隣にオレが居るとか最高じゃん？

Aの手を引いて進むランウェイ。
観客の声援、拍手、カメラのフラッシュ。

中央でAに伝える。



「結婚して下さい」



せっかくキレイにメイクしてもらったくせに泣きながら抱き着いてきたA。
この先何があっても絶対離さねぇからな。



高校時代の甘酸っぱいイチゴみたいな初恋は、炭酸みたいに弾けた。










○。ストロベリースカッシュ。○









end.











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