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◎Aside
「うっわぁ！きれーやなー！！」
はしゃいでいる章大君の体は、水槽のガラスに反射してゆらゆら揺れていた。
水槽越しのに見える章大君のしぐさは間違いなくあのテラスから見下ろしていた彼で、隣にいることが今さらながら信じられない気持ちになる。
私には関係のない世界の人だと思っていたのは、ほんの少し前の事なのに。
車の中で行き先を選び取れなかった私を見て、章大君はまたニコッと笑った。
そして行先が書いてある付箋を一つひとつ丁寧に折りたたんで、空っぽのタンブラーの中に入れた。
ぐるぐるかき混ぜて、私に差し出す。
「一個取って」
言われるままに選び取った付箋には、「水族館で魚を見る」と書いてあって
「…夜の水族館、期間限定で開けてるってお客さんが言ってたから」と言ったら、「ええやん。じゃあ行こう」と無邪気に笑った彼の顔がまぶしかった。
それで私たちは、章大君の運転する車で夜の水族館に来た。
「なんか僕ばっかり楽しんじゃってごめん」
「どうして。楽しいよ。そもそも水族館の案を出したのは私だし」
ていうか楽しいのに楽しそうな顔ができなくてごめん。
「僕、水族館だいすき」
「悩んで書いた甲斐があったよ」
そして選ばせてくれてよかった。
章大君は年下だし子供みたいに見えるのに、私よりずっと大人だ。
たぶん私よりいろんなことを知っている。
正しい答えの出し方も、挫折の乗り越え方も、友達との付き合い方も。
「――あれ！もしかして」
急に肩を叩かれて後ろを見ると、知っている顔があった。もう2度と見なくてもいいと思った顔。
「…Aちゃん、知り合い？」
警戒心丸出しの章大君に急にグッと手を掴まれてそのまま引き寄せられる。私はちょっとよろけた。
めまいがする。
「うん、あの、前の会社の、上司の…」
「うーわー。デート！？年下の彼氏とか、すげーな！」
遮られて口が固まる。
3か月で退職した会社の上司は、いつも声が大きくて話を食い気味に遮ってくる感じが苦手だった。
ああ、そうだった。
この人は、こうやって私をいつも黙らせた。
そして私はそれをどうしていいのかわからなくて、一人で動けなくなって固まっていた。
まわりの人たちだってこの人には困っていたのだ。
でもこの人の前では適当に合わせて、上手にあしらって、陰で悪口を言っていた。
そうすれば穏便に済んだから。
私にはそれが出来なかった。ただ、それだけ。
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みき(プロフ) - 待ってます！ (2021年4月14日 10時) (
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cayochi(プロフ) - 私も待ちます (2021年4月14日 8時) (レス) id: 89ed3d2d70 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - いい子で待ってます (2021年4月14日 8時) (レス) id: b5cc118e0b (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - イイ二人の世界だ〜(*´艸｀*) (2021年4月14日 8時) (レス) id: d5063d2f63 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 二度目の更新有難うございます！丸ちゃん、金木犀の香り…想像できます〜♪♪でも、連絡先交換とか名前で呼ばせるとか！？えっ！！丸ちゃんーー！！！って感じです！！笑 (2021年4月13日 19時) (レス) id: c6ee858f5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりん虫
| 作成日時：2021年3月8日 9時
