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エイトに行って、ちゃんと謝らなければいけないのはわかっていたのだけれど、忙しくて行く暇がない。
電話なりメールなりすればいいのに、ちゃんと会って話したいとか思って機会をうかがっているうちに時間は過ぎて、完全に謝るタイミングを逃したまま、数日があっという間に過ぎる。
会いたい、私だってずっと会いたくてたまらなかったのに。
マックの方から歩み寄ってくれないと、こんなにも会えない。
焦った気持ちのまま仕事に忙殺されているうちに10月は過ぎて、もう今日は10月最後の日。
その日は出版社が主催するハロウィンパーティーが催されていて、パーティーが終わればようやく仕事もひと段落するから。
そしたら、きっと―――。
パーティーの準備は順調に進み、料理は外部に発注する予定で私はその係だったので、必然的にエイトにケータリングの依頼を出した。
仕事だし私情を挟むのは違うから、誰にきてほしい、とかは言ってない。言ってないけども。
ジャ「とりっくおあとりーと!!」
「ジャッキー、その仮装笑えないんだけど」
やってきたのはジャッキーとガムだった。
ジャッキーはなんと完璧なドラキュラ伯爵のコスプレをしていて、ガムはぴくぴく動く黒い猫耳としっぽをつけている。
ガ「魔女のお嬢さん、お菓子はいかがですか?」
返事をする前に捕まえられて口の中にクッキーを放り込まれる。
ちょっと距離が近いし人の目が痛い。
そうでなくても2人は会場の中でばちばちに目立っていた。
エイトにも全然顔を出していなかったので、この人たちと会うのも久しぶり。
会いたかったし、来てくれてうれしい。
でも
「…おいしい」
ガ「もっと元気のでるやつ持ってくる予定やったんやけど、のっぴきならない事情があって」
ガムが眉を下げてそう言って、マックのことだと確信する。
だってマックに会いたい。
絶対的にマックが不足している。
マックが来てくれるかもと思ってちょっと露出多いし恥ずかしかったけど悩んで悩んで魔女の仮装にしたのに!綺麗に見えるように昨夜は久しぶりにパックしたし仕事終わりに一回化粧落として下地から丁寧に塗って目元のメイクも念入りにしたしリップは大人っぽくかわいく見えるピンクベージュにしてパーティー終わって仮装を着替えてマックの部屋に行くときも浮いて見えないようにコーディネイトして考えて考えて考え抜いて準備したのにー。
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きりん虫(プロフ) - ブルームーンさん» ガムの背中は広くてあったかい☺️ (2022年2月25日 12時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - 究極の愛の場所はそこなんだなぁと(*´-`)おんぶ( *´艸`) (2022年2月25日 5時) (レス) id: d5063d2f63 (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - ブルームーンさん» わーん!ブルームーンさん!ご無沙汰していました!ありがとうございます!! (2021年2月27日 11時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - わぁいいお話…も一回読む♪きりんむしさんの青さんに会いたいなぁと思ってたんです(*^^*)ウレシイナ (2021年2月27日 7時) (レス) id: d5063d2f63 (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - めろんぱんさん» めろんぱんさん!こちらこそありがとうございます!!!!!!大好きです!! (2020年10月31日 23時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりん虫 | 作成日時:2020年10月31日 16時