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ト「Aちゃんの写真に鳥が入ってるのはなんでなん？」
カメラをぱちぱち操作しながら彼が言う。
あのひとの写真も空の写真が多いけれど、私の写真は全部あの家のベランダに集まる鳥たちと空の写真。
毎日同じ構図の下手くそな写真。
「時々、ベランダに青い鳥が来るの」
「すごくきれいな子だから何とか写真に撮りたいと思って餌をまいておびき寄せてるんだけど、全然カメラにおさまってくれなくて」
ト「はは、『青い鳥』な。幸せになりたいの？」
そう聞かれて、考えてしまった。
私は何であの鳥を撮ろうと躍起になっているのか。
わざわざ朝早く起きて、ベランダに餌をまいてまでして、酔っぱらっても忘れないで毎朝写真を撮ったところでなんだというのか。
ト「あの話、最後どうなるか知ってる？」
「ええと確か、遠くまで探しに行ったけど、結局青い鳥は家にいた、みたいな感じじゃなかった？」
ちゃんと読んだことはないけど、「幸せは本当は近くにある」みたいなオチだった気がする。
ト「そうそう。思い出の国とか、未来の国とかいろんなところを探しても見つからんくて、諦めて帰ってきたら家に居ったちゅう話で…、あ、海！」
建物の合間を縫って急に現れた海を見て、彼が目を輝かせたのが見えた。
思った通り海は寒かった。
晴れていたから景色は良かったけれど、私達の他に人はいなかったし普通に考えて長居できそうな気温ではないのに、彼は車のどこからかレジャーシートを出してきて砂浜に広げている。
「ねえ、寒いよ。帰ろうよ」
ト「来たばっかりやんか。サイッコーの天気やで！」
海の魔力か。
彼は行楽地に来てテンションが上がって自制の効かない小学生みたいになった。
今にも波打ち際に走っていきそうな勢いで私の方を振り返る。
ト「ほら、写真撮るぞー」
「ねえ、インチキカメラマンみたいだよ」
波打ち際に私を立たせてカメラを構えた彼は、「ええなぁ、かわいい顔して！」とか言いながらレンズを覗く。
ト「じゃあ、笑って」
カシャカシャ
意外と小さい彼の手がシャッターを切る。
何枚か撮ってカメラから顔を上げた彼は、また困った顔で私を見た。
「なに」
ト「心を閉ざした野生動物みたいな写真が撮れた」
「ふふっ、ごめん」
見なくてもわかる。
卒業写真とか免許証とか、写真を撮られる時の私は形状記憶の真顔。
あのひとは不意打ちで私にカメラを向けるのが天才的にうまかったから。
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きりん虫(プロフ) - ブルームーンさん» ガムの背中は広くてあったかい☺️ (2022年2月25日 12時) (
レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - 究極の愛の場所はそこなんだなぁと(*´-`)おんぶ( *´艸｀) (2022年2月25日 5時) (レス) id: d5063d2f63 (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - ブルームーンさん» わーん！ブルームーンさん！ご無沙汰していました！ありがとうございます！！ (2021年2月27日 11時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - わぁいいお話…も一回読む♪きりんむしさんの青さんに会いたいなぁと思ってたんです(*^^*)ｳﾚｼｲﾅ (2021年2月27日 7時) (レス) id: d5063d2f63 (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - めろんぱんさん» めろんぱんさん！こちらこそありがとうございます！！！！！！大好きです！！ (2020年10月31日 23時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりん虫
| 作成日時：2020年10月31日 16時
