12 ページ33
.
トッポが嬉しそうに部屋のあちこちを見せてくれている間に、ジャッキーとガムとジョニーがテーブルにご馳走を並べていた。
ジャ「ほれ、仲直りしたとこでぱーてぃーしよ」
久しぶりの、にぎやかな空気。
試作メニューの試食会も兼ねていたので、ああでもないこうでもないと言いながら食べる食事は、楽しかった。
これがこの人たちの栄養にならなくても、いらない食事でも、この時間は、必要な時間だと思う。彼らにとっても、私にとっても。
「この部屋、いつこんな風にしたの?忙しかったのに」
マ「俺は女の子の部屋に勝手に入んのはあかんって言うたんやけど」
ジャ「お前が言うな」
ジャッキーにどつかれるマック。マックは能力を使って私の部屋に勝手に入っていた常習犯だ。
ガ「1週間あったからな。みんなでちょこちょこ空き時間に」
エ「構想の段階からガチ喧嘩やったよなぁ、意見合わんくて」
ア「全員入ったら狭いかと思ったけど、割といけたな」
アーセナルが周りを見渡しながら言う。
全員。そこに、私を入れてくれる。まあ私の部屋なんだけど。
いつか、どこかに消えてしまうのかもしれないけど、今は、これでいいか。
部屋に入ってからずっと繋がれていたマックの手をちょっと握ったら、マックも握り返してくれた。
ジョ「もとはと言えばマックがウジウジしてるからやろ。いつ二人で暮らす事になってもいいように広くしたんやんか」
マ「心の準備があんねんから、ほっといてくれや」
ト「僕も来てええ?」
上目づかいで私を見る天使。神様ありがとう…!
「もちろんいいよ。あ、そういえばトッポに渡すものがあるんだった」
部屋に入る前に確認した宅配ボックスに入っていた段ボールを開ける。
「はい、これ」
目をキラキラさせて受け取った袋を開けるトッポの手には、インコと同じ青色のモコモコのルームウエア。きっとトッポに似合うと思って選んだ献上品。
ト「かわいい!」
ジョ「トッポだけずるない?」
ア「えこひいきはあかんで。俺には似合わんからええけど」
長髪ヒゲのアーセナルがそう言ったので、思わず笑ってしまう。
.
107人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きりん虫 | 作成日時:2020年7月6日 21時