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「お仕事って、かっこいいしモデルさんとかですかぁ？」
「色が白いから、あんまり外に出ない仕事っぽい」
「目の色素薄いですよね、もしかして外国の血入ってます？年齢不詳。おいくつですか？」
白雪姫に向かって矢継ぎ早に質問を繰り出す女子ズ。
白雪姫は無表情になって、飲食店です、と言ったきり貝になった。
私は今のうちに運ばれてきたメインにナイフを入れる。
美味しいものは美味しいうちに食べたほうがいいから。
そうじゃないと食べ物にも作ってくれた人にも失礼だ。
チラッと目の前のイケメンたちを見ると、2人もやっとほとんどレアのステーキにちょっと箸を付けていた。
それにちょっと満足してステーキを咀嚼しながら考える。
異性を引き付ける容姿。
色が白くて、年齢不詳。
赤ワインと生肉だけ食べる。
銀食器を使わない。
これじゃあまるで
「…吸血鬼」
ボソっと呟いたらビクッと飛び上がって、私を見た人が2人。
隣の席の新婦の元カレ達にも女子ズにも聞こえなかったみたいなのに、一番遠いところに座っていたイケメン達にだけ聞こえた？
いやいや、しかもそんなビックリすること言ってないし。明らかに意味のない独り言。
私とイケメン達の視線が絡まったのは、ほんの一瞬。
「一緒にバーやってんねん。よかったら来て」
アラジンが立ちあがって、ショップカードを手渡してきた。
意味ありげに私ににっこり笑った後、隣の元カレ達と女子ズにも一枚ずつ渡す。
近づいたときに香った香水の匂いが、黒いカードにもほんのり移っている。
ショップカードには『THE EIGHT』の文字。
住所をよく見たら、家の近所だった。こんな店あったんだ、全然気づかなかった。
アラジンは、席に戻った後も私の方を見てニコニコしている。
目が合ったら、“き・て・な”と口をパクパクさせた。
いよいよちょっと、クラクラしてきたんですけど。
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作者名：きりん虫
| 作成日時：2020年7月6日 21時
