2 ページ17
.
「場所取り係って、“年上組”なんだよね?」
肩の上でトッポがぴぴ、と鳴いた。
私が既に会っている吸血鬼は5人。
何年生きてるのか知らないし、その中で年上だの年下だのの概念がどうなっているのかは謎だけど、私が契約をしたらしいマック以外のエース、ガム、ジョニー、トッポの4人は“年下組”で、マックとあとまだ会っていない2人が“年上組”らしい。
今から行くところには初めましての2人がマックと一緒に待っているわけで、今日はいよいよ7人全員が集合するわけで。
私はちょっと緊張していた。
初めましての2人と会うのも緊張するし。
マックと会うのは、初めて会った日以来だから、それも緊張する。
いくら夜のお花見だとはいえ、あれだけのイケメンが揃っていたらさぞかし目立つに違いないし。
ていうか私イケメンに囲まれて平常心を保てるんだろうか。
思わず武者震いした私をつぶらな瞳でチラリ、と見たインコのトッポは、私の頬に体を擦りつけた後で翼を広げて飛び立った。
青い小鳥が、方向を示すように飛んでいくのを追って、私は少し早足になった。
わりと荷物が重い。
しかも獣道みたいな、奥まった林の方に誘導されて、私はちょっとへばった。
ト「…大丈夫?ゴメン、荷物持つからもうちょい頑張って」
いつの間にか人間体になった青いメガネのトッポが、私の持っていた“場所取り係の飲み物”を軽々とさらって歩いていく。
途中でじれったくなったのか私の手を引いてピョンピョン歩き出したトッポは、「ジャッキーが作るご飯めっちゃ美味しいんでやで」とか言いながらご機嫌ではあったけど、一回もこっちを振り返らなかった。人間体になったら急にシャイボーイ。
こうやって見ると確かにトッポはマックよりも年下に見える。
吸血鬼たちの年齢の概念はどうなっているんだろう。
.
107人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きりん虫 | 作成日時:2020年7月6日 21時