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章ちゃんが帰ってから開いた封筒には、信五君からの知らせが入っていた。
ぱりっとスーツを着こなして、黙っていればかっこいいのに口を開けたら台無しになる、浪速の弁護士さんの顔を思い浮かべる。
信五君は社会人になってから友達とお酒を介して知り合った飲み仲間で、転落していく私を見ていた友達の中でも、一番“らしい”反応を示した人だった。
人の不幸は蜜の味、とはよく言ったもので。
私が身を崩すような不幸に見舞われているのを知った周りの人たちは、様々な反応を示した。
我関せずと離れて行く人。
根掘り葉掘り聞いて心配しているふりをして裏で吹聴する人。
弱みに付け込んで揶揄してくる人。
もちろん好ましい距離で見守ってくれる人もいたし、私がどう受け取るかは別にして善意で同情をしてくれる人もいた。
なにかイレギュラーなことが身近で起こった時、人は意外な反応をするのだ。多分、それが普通。
それなのに、信五君は何も変わらなかった。
いつも通り私を誘って飲みに行ったし、自分ができることは何か、きちんと整理して私に提示して、できないことはできない、とはっきり言った。
そういう職業の人だから、と言えばそれまでかもしれないけれど。
本当に親身に相談した以外のことまで請け負ってくれたのは、「友達やから当たり前や」と言ってくれたのは、本心だったと思う。
本来なら私が出向かなければいけないのに、現実を見たくないばかりにこうやって郵便で書面のやり取りをする手間をあのせっかちな人にさせているのは本当は申し訳ない。
丁寧に書かれた右肩上がりの文字を眺める。
信五君はよく「視点を変えろ」と言った。
これは、見ようによっては、嬉しい知らせ。
これにサインして送り返せば、私が都会に置いてきたかったことは全部、終わる。
夕方になって、電話が来た。
ディスプレイには、“村上 信五”の文字。
信『書類、届いた？』
「うん、昼間受け取りました」
信『ほんまにサインする？』
「するよ、そのために送ってもらったんだから」
信『あんなぁ、送っといてこんな事言うのも変なんやけど』
彼にしては珍しく歯切れが悪い。
信『ちょっとだけ、サインすんの待ってくれへん？俺、そっち行くわ』
開け放していた窓から、少し冷たい風が入ってきた。
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きりん虫(プロフ) - 茅香さん» 茅香さんはじめまして。人間味のある橙さんが私のツボです。コメントありがとうございます。 (2020年4月18日 5時) (
レス) id: 04ee5be231 (このIDを非表示/違反報告)
茅香(プロフ) - はじめまして。自分は黒担なのですが、きりん虫さんが描かれる狡いオレンジさんがとても好きです。 (2020年4月18日 1時) (レス) id: 79a5f5eb6c (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさん明けましておめでとうございます！どうも青さんは天からの使者になりがちですね。尊い´д` ;。今年もよろしくお願いします！ (2020年1月4日 8時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - ニァさん» ニァさんはじめまして。コメントありがとうございます！自然と再生が裏テーマだったので季節描写が多かったのですが、楽しんで頂けたならよかったです。また更新中の作品に戻りますので遊びに来て下さいね！よろしくお願いします^ ^ (2020年1月4日 8時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - 暖かい緑さんに包まれたくなります！そしてキツツキさん、彼は鳥さんになりがちですね♪幸せの青い鳥さんでしょうか(*´ω｀*)ﾎﾜﾎﾜ (2020年1月4日 0時) (レス) id: 9f4337f44a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりん虫
| 作成日時：2019年12月21日 17時
