破れた傘にくちづけ １

夜のお悩み相談室-赤橙黄- ページ18

夜のお悩み相談室-赤橙黄-






だめだ。
モヤモヤして全然眠れない。


眠るのを諦めて出て行ったリビングには、ジャズのレコードが控えめに流れていて、テーブルの上には、ウイスキーとチョコレートと唐揚げが並んでいた。

その横には、アーセナルと、ガムと、エース。



吸血鬼たちの嗜好は人間だった時の感覚に寄っていることが多いらしい。

アーセナルはお酒が好きで、ガムは甘いものが好き。エースは偏食だけど唐揚げと焼きそばは好きだったとか。

食べなくても問題ないし満足感も人間だった時のそれと比べると全然だと言っていたけれど、それでもやっぱり飲んだり食べたりすることは彼らの娯楽になっている。


ガ「眠れへんの？」

読んでいた本を置いて、私の方を見たガム。ちょっと心配そう。

「うん」

冷蔵庫から水をもらって一口飲む。
モヤモヤしていた気持ちが、ちょっと落ち着いた。


ガ「マックは？」


「ええと、私がお風呂から出てマックの部屋に戻ったら、“用事思い出した”とか言って急にどっかに行った」


私の返事を聞いて、吸血鬼たちは三人三様の顔でニヤニヤした。

やっぱり不自然だし、意味がわかんないよね…。


「私、また避けられてるのかなぁ」









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