破れた傘にくちづけ １

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ここbar THE EIGHTでは、7人の吸血鬼が家族みたいに暮らしている。


みんな個性はバラバラ。

全員顔面偏差値が異常に高いし、全員揃ったら馬鹿みたいにうるさいけど、普通の人たちだ。

老けないし、特殊な能力が使えるし、動物に変身できるし、人間の血を命の糧にしているけど。


それ以外は本当に、普通の人たち。


私はその中の一人、マックと『契約』をしている、らしい。

私にとっては、彼らの中でも、マックが、特別。





ガ「指名されたのがマックやからそんなに怒っとんのやろ？妬けるわ〜」

「そういうわけじゃ、、、」

ジョ「俺にも妬いてよ」


いつの間にか横に来ていたジョニーが、おもしろくなさそうにスマホの画面を見せてきた。

そこには、ドールハウスみたいな生活感のない部屋で、にっこり愛想笑いをして奥様数人に囲まれているジョニーと、奥様に両方の腕を組まれて捉えられた宇宙人みたいになった不貞腐れた顔のトッポの画像。


「なにこれ！」


ジョ「この前のパーティーのケータリング」

ジョ「ほんとはマックと俺が指名やったのに、誰かさんが転んで骨折ったせいでうちの天然秘蔵っ子が駆り出されてオモチャにされている写真」


なんと。

先日私は階段から落ちて足の骨を折った。契約のせいで私と『一心同体』のマックはしっかり影響を受けて一緒に療養を強いられ、彼の代わりにトッポが仕事に行ったのは聞いていた。


しかしなんと、このような苦行を天使ちゃんに。


ガ「わわ、ちょっとジョニー、せっかく興奮落ち着いたのに追い打ちかけんでよ。Aちゃんの血管切れてまうわ」


そして、この苦行をこれからマックに？

イヤ、絶対イヤ。


また、どうどう、と言いながら私の頭を撫でるガム。
ガムは人の感情をコントロールできるらしいのに、今日の私の感情は暴走暴れ馬だ。

ほんとに血管切れそう。




「私も行く」




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