2. ページ30
そのまま自宅に送ってもらい別れたけれど
二人ともとても離れがたかった。
「はぁ、帰すのマジで辛いわ……」
マンションの前に車を停めて和也くんが私の手を握って言った。
「私も……だけど、ね、帰らなきゃ」
それはまだまだそばにいたいけど、現実はそうはいかない。休みは今日でおしまいだ。
「分かってる。……すぐ会えるように仕事する！今週末も休めるようにするから……待ってて？ってか毎日電話する」
潤んだ目でそんなこと言われるとドキッとしてしまう。
「うん」
その気持ちだけで嬉しいと思った。
「メッセもするか……んっ」
「ありがとう……おやすみなさい、気をつけて帰ってね」
言葉を遮るように私から唇に触れるだけのキスをしてから手を振った。
翌朝……余韻で何だかフワフワした意識を抱えて出社するとロッカールームで同じ事務の後輩のハナミちゃんが大きな声で話しかけてきた。
「ちょ、ちょっとAさん！」
「なぁに？ハナミちゃん。おはよう」
ぼーっと事務服に着替えていると、ハナミちゃんが私の顔をジッーっと見てきた。
「Aさん、さてはプロポーズされましたね？」
「え？」
「顔が違う」
何か……違いが分かるものなのだろうか？と思って眉を寄せると、ハナミちゃんがピシッと指を指してきた。
こらこら、人を指で指してはだめですよ？
「木曜日に会った時もちょっと濃いメイクしてましたけど、もっと疲れた顔してましたもん。なんですかその今のツヤツヤな顔は！金曜日の有給休暇は記念日デートだって言ってましたもんね……ついに寿なんですね！やりましたねー！」
どんどん先に話が大きくなっていくけれど、ハナミちゃんそれは違うんだな。隠しても仕方ないので話すことにした。
「ハナミちゃん、違うの。その人とは別れたの」
「は？Aさんを振るバカ居るんですか？頭おかしい」
どっかでも聞いたようなセリフだなと可笑しくなってしまう。
「ふふふ」
「ちょっと待ってください、じゃあ何でそんなに艶めいてるんですか？何年か付き合ってる彼氏だって言ってましたよね……？」
ハナミちゃんは訝しげにこちらを見てきた。
確かにおかしな話だろう。5年付き合ってもしかして結婚かも、なんて話していた時にフラレたにしては、私は幸せそうなのだからおかしく見えて当然だろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 829人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
咲詩(さきうた)(プロフ) - はるちさん» はるちさん。コメント有難うございます！甘いだけのお話がやはり書けない咲詩、現れました←……ここから2曲がり？！ほどある予定です……楽しみと言っていただけて嬉しいです！！(T_T) (2019年10月23日 8時) (
レス) id: 2be9ef90a6 (このIDを非表示/違反報告)
はるち(プロフ) - 甘々だった展開が動いてきましたね…。どうなっていくのか楽しみです。 (2019年10月19日 5時) (レス) id: 041d0ce1ae (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - 橘花さん» 橘花ちゃんコメントレス遅くなってごめんね！(´∀｀*)ｳﾌﾌ、ねぇ彼が引っ掻き回してくれるかなー、どうなるか今分岐点なんだよー。いつもありがとう！ (2019年9月16日 21時) (レス) id: 2be9ef90a6 (このIDを非表示/違反報告)
橘花(プロフ) - 夏休みって時間があるようなないような。。バタバタしてたよ〜…やっと終わったね！そして潤くんが波を立てそうな予感ですね…。どこまでも咲ちゃんのお話読みたいです♪明日も彼らを見れる、穏やかな毎日に感謝だね…！彼らの、咲ちゃんの明日も明るくなりますように！ (2019年9月4日 17時) (レス) id: c96c7aeb8a (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - はるちさん» はるちさん。ありがとう御座います！ふふ、甘いですよぇ暑くて怠くてグダグダ仕事してる私の頭の中で……こんなことを二人はしております笑読み返して頂けているなんて、幸せです、ありがとう御座います！ (2019年8月21日 8時) (レス) id: 2be9ef90a6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：咲詩(さきうた)
| 作成日時：2019年7月7日 21時
