《4》甘さと苦さ ←7/23up ページ16
「ここって……」
「来たことある?」
「いえ無いですけど……」
来たことはない。でもそこは……実は来たいと思っていた場所だった。
あまり思い出したくないけれど、元彼と付き合っている時にいつか夫婦になったらここに来たいなんて思っていたのだ。
「そっか、でも来てみたかったってことね?」
またしても思考を読まれてドキッとすると、二宮さんは目尻を下げて柔らかく微笑んだ。
「それならよかった。他のヤツとAちゃんが来てないならオレも嬉しいし」
「に、二宮さんこそ過去の彼女と来たんじゃないんですか?」
聞かなければいいことを聞いてしまう。私ってば余計なこと言いすぎ?
「ううん。無いよ」
ではこんな所を何故知っていたのだろう?
どちらかと言うと女性趣味な場所だと思うんだけどなぁ……
でも二宮さんは無いと言っているし、そこは信じる?と自問自答していると二宮さんが少し困ったように微笑んだ。
「怪しい?でもね、仕事で来たの。だから知ってたけど、その時は社長と二人で来たかんね?社長に聞いてみてもいいくらいよ」
「仕事……なるほど」
それならあり得るのかと妙にそこで納得して安心するなんて、ちょっと疑い深すぎかな。なんて気落ちしてしまう。
「大丈夫だよ。でも……少しずつ信じて」
「はい」
手を繋ぎ直して入り口に立つとその豪奢さに思わず上を見上げてしまう。
そこは山の中にヨーロッパのとあるお城をそのまま移築した場所だった。
「結構好きなんだよね、古いヨーロッパの建物とか。昨日の美術展もそれで惹かれたからね」
ぼーっと眺めてしまった私に二宮さんがポソッと呟いた。
「そうですよね私も好きなテイストです」
「でしょ?だから二人が楽しめるとこってここかなって思いついたんだ」
私も古城やアンティークなモノが好きな方だ。
詳しくないけど、小物なんかもついそのテイストのものを選んでいる気がする。
「ありがとうございます、嬉しいです」
やっぱり合うんだろうなぁ。
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咲詩(さきうた)(プロフ) - はるちさん» はるちさん。コメント有難うございます!甘いだけのお話がやはり書けない咲詩、現れました←……ここから2曲がり?!ほどある予定です……楽しみと言っていただけて嬉しいです!!(T_T) (2019年10月23日 8時) (レス) id: 2be9ef90a6 (このIDを非表示/違反報告)
はるち(プロフ) - 甘々だった展開が動いてきましたね…。どうなっていくのか楽しみです。 (2019年10月19日 5時) (レス) id: 041d0ce1ae (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - 橘花さん» 橘花ちゃんコメントレス遅くなってごめんね!(´∀`*)ウフフ、ねぇ彼が引っ掻き回してくれるかなー、どうなるか今分岐点なんだよー。いつもありがとう! (2019年9月16日 21時) (レス) id: 2be9ef90a6 (このIDを非表示/違反報告)
橘花(プロフ) - 夏休みって時間があるようなないような。。バタバタしてたよ〜…やっと終わったね!そして潤くんが波を立てそうな予感ですね…。どこまでも咲ちゃんのお話読みたいです♪明日も彼らを見れる、穏やかな毎日に感謝だね…!彼らの、咲ちゃんの明日も明るくなりますように! (2019年9月4日 17時) (レス) id: c96c7aeb8a (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - はるちさん» はるちさん。ありがとう御座います!ふふ、甘いですよぇ暑くて怠くてグダグダ仕事してる私の頭の中で……こんなことを二人はしております笑読み返して頂けているなんて、幸せです、ありがとう御座います! (2019年8月21日 8時) (レス) id: 2be9ef90a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲詩(さきうた) | 作成日時:2019年7月7日 21時