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「ねぇ、俺らと出掛けようぜ」
「お友だちくるって言ってから全然こないじゃん」
さっきからシカトしているのが、全然引いてくれる気がしない
野薔薇ちゃんはお手洗い、恵くんは私たちの飲み物を買いに行ってくれてる間にこれだ
「本当に友だち待ってるんで」
その場から離れようとすれば、小さく舌打ちが聞こえ、手首をぎゅっと握られた
「俺たちが優しくしてやってんのに調子に乗んなよ」
「ちょっと離してください」
「優しくしてやってるときに来れば良かったのになぁ」
まわりを見ても見てみぬふりして通り過ぎてく人ばかりであてにはならないみたいだ
振り払おうにも二人がかりできっちり掴まれ逃げようがない
“こわいっ”
「ほんと、イヤ……」
「目が潤んで可愛いねぇ」
「誘ってるしか思えねぇよなぁ」
“気持ち悪いっ”
“助けて”
そんな負の感情ばかり渦巻いてるとき私と男たちの間に誰かが割って入ってきた
「“触るな、去れ”」
その言葉に男たちの意思とは関係なくその場から離れていった
「高菜？」
私と目が合ったのは狗巻先輩だった
「いくら？」
優しく撫でてくれる頭に「助けてくれてありがとうございます」と笑顔を向ければ、ぎゅっと抱きしめらた
「間に合って良かった」
心底安心したような声に、「ほんと、先輩、王子さまみたい」と遠慮がちに手を伸ばした
「ごめーん、遅くなった」
野薔薇ちゃんの声が聞こえて慌てて離れ、
「あれ？狗巻先輩？」と不思議そうにしてる2人が目に入って、説明をするとなぜか謝られてしまった
狗巻先輩の悪のりで「しゃけ、明太子“ほんと、反省して”」とぷんすこしてる姿をみるとなぜかみんなで笑ってしまった
「さぁ、次行くわよ！伏黒！」
野薔薇ちゃんの声に「あ、待って」と紡げば、「せっかく狗巻先輩いるんだから、楽しみなさいよ」とあしらわれ、恵くんを連れ去ってしまった
「ツナマヨ“ほら、行こ”？」
予定あったのでは？なんで、ここに？
聞きたいこといっぱいあったはずなのに、こんな優しい笑顔をみたら、全部飛んで行ってしまった
「うん」
差し出された手に自分の手を重ねると、とても安心した
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作者名：ゆきはな | 作成日時：2021年4月27日 22時
