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頼んだものが来る間、いつもならスマホを取り出してアプリゲームをしたりSNSを開いたりするけど先輩がいる
ポケットの中に入ったままのスマホは、ずっと鳴らずとても静かだ
「ツナ、明太子？」
“Aちゃん、ここに来たの覚えてる？”
すらすらと紙に書かれた文字を見て「はい」とつぶやいた
「なんで先輩知ってるんですか？」
“ここで会ったの俺だよ”
綺麗に書かれた文字に「え？」と目をぱちくりさせたタイミングで「お待たせしました」と店員さんが明るい声で素敵な色のクリームソーダを運んできた
綺麗な緑色と水色
「ツナ」
すっと差し出された緑色のクリームソーダを受け取ると棘先輩は自分の水色のクリームソーダをスマホでパシャりと撮っていた
私もスマホを出して一枚撮るとキラキラ光ってて、その奥に嬉しそうにしていた棘先輩も目に入り、気づいたらクリームソーダと一緒に一枚撮していた
「私が小さい時に会ってたのって、棘先輩なんですか？」
「しゃけ！明太子？」
“思い出した？”
「その頃のこととか、あんまり覚えてなくて……ごめんなさい」
しゅんと頭を下げると「高菜、こんぶ“むしろごめんね”」と逆に謝られてしまった
「先輩が謝ることじゃ！」
「おかか、ツナマヨ！“違うんだ！全部、俺のせい”」
勢いよく制されて、頭が混乱してしまう
私の記憶の一部を覚えてないのは先輩のせい？
「どういうこと？」
「“俺のおばあちゃんとAちゃんのおばあちゃんが友だちだったんだ
それで、ここで会うことにした時にお互いに孫がいることを知って会いたかったんだって
それで、俺は連れてこられたんだ”」
“ここではじめて俺たちは会ったんだよ”と懐かしむように窓の外を眺め始めた
それから小さい頃の話をしてくれるのかと思いきや“急にそんな話されても困るよね、ごめん”と謝られてしまった
「いえ、お話してくれて良かったです。ここに来たことがあったのは思い出したんですけど、誰に会ったかなんて分からなかったから、ありがとうございます」
でもどこか、そっかと何かがすとんと府に落ちたような安心感があった
「高専で会ったときはじめましての感じがしなかったの、私の心の中のどこかで先輩を覚えてたんでしょうね」
“そうだといいな”と微笑む先輩は優しくて、少しずつ思い出していきたいと思い始めていた
でも、先輩のせいってどういうことなんだろ……
ｰｰｰｰｰｰｰ
あれ？展開早い……？
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作者名：ゆきはな | 作成日時：2021年4月27日 22時
