恥ずかしがり屋と呪言師 (ページ18)

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９話ページ18

体術ですっかり汗で濡れてしまったパーカーを脱ぎ捨て、久しぶりの制服
やっぱり似合わない

なんでか分かんないけど、五条先生がカスタマイズした制服は狗巻先輩とお揃いといっても首元だけ…
あとは着物みたいに袖がついてて、下はスカートにハイソックスにブーツになっていた

「だって恥ずかしがり屋で顔見せたくないならちょうどいいじゃん」

だからといって、同じデザインにしなくたって…

先輩たちに見られるのは、なんだか気がひけて、パーカー着てたけどまだ乾いていないから仕方がない

その制服で雑学を受ければ、運悪く五条先生で「ほらやっぱり似合ってるじゃん」と何故か先生が嬉しそうなのにひきつるしかなかった

にぎやかな担任の声を聞き流し、「どこ行くのかな？」と微かに胸を弾ませていた

チャイムが鳴り、授業の終わりを知らせられ、荷物をまとめていると「A！ジャージ買いに行こ！」と野薔薇ちゃんが隣からつついてきた

「あれ？野薔薇ちゃん、聞いてないの？」

「なにを？」

「狗……棘先輩が体術終わったあとにちょっとお出かけしよって言ってたよ？」

「えっ？聞いてないけど……そのお出かけしよって、もしかしてそれって……」

野薔薇ちゃんが何かを言い掛けたとき「ツナマヨ？」と扉から噂の彼が覗いているのを見つけ、「狗巻先輩！」と声を掛けると「おかか！」と胸元で×を作っていた

「あ、棘先輩？」と言い直すと「しゃけしゃけ！」と○を作って嬉しそうにしていた

「ちょうど良かったです！棘先輩、お出かけ野薔薇ちゃんも一緒でもいいですか？」

「すじこ？！」と驚いた顔をした後、うーん……と首を傾げて悩んでいた

「あ、ごめん。A！私、この後、五条先生に呼ばれてたんだわ
また今度埋め合わせさせて」

「えっ？そうだったの？」

「そうそう！じゃあ、また明日」

野薔薇ちゃんが教室から出て行くのを見送ると「しゃけ！いくら？」と棘先輩が手を差し伸べてくれたのにお惑いつつも、手を取った

意外だったのか目をぱちくりとさせた後、嬉しそうに微笑む先輩にまたどきりと胸が高鳴り、握った手はとても暖かかった

ｰｰｰｰｰｰｰ

あれ？恵くん、空気……