60 追憶/ ひとつずつ ページ10
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夏目のその言葉が本心からだということが、いくら人の心を読み取れないAでも理解出来た。
Aは恐る恐る箸を動かして1番上に乗っていたローストビーフを口にする。
「…おいしい」
「はい〜、おいしいですね〜」
「奏汰！しょう油がこっちに跳ねてきたのだよ！」
「渉、ソースとって。…馬鹿、それはケチャップだろ〜が」
他のみんなもAが食べたのに安心してか食事を再開する。またいつもの騒がしい5人に戻った。
( ふふ、久しぶりに誰かとご飯食べてるや。スバルが学校来なくなってからご飯食べるのはずっと1人だったし)
一人暮らしをしてる今、Aが誰かと何かを食べるのはスバルと一緒にいるお昼休みだけ。それもココ最近でなくなってしまったから。
朝は元々食べていないし、夜はレッスンが忙しくてそれどころじゃなかった。だけど倒れても困るから、野菜ジュースとか栄養食品で補っていた。
( …味する、おいしい！)
「…、Aは何か好きな食べ物はあるんですか?」
「好きな食べ物? …んー、とね、私食べ物全般好きじゃないんだー」
「エ」
「甘い物とか苦い物は本当にダメで、嫌いな食べ物だったら答えられるんだけど…好きな食べ物はないかなぁ」
「お前よく生きてこれたな今の今まで」
いいや、違う。Aの言い方では語弊を生む。
好きな食べ物がないだけで、食べれる物と食べられる物がある。基本甘い物や苦い物、辛い物といった、変に舌を刺激する物が本当にダメなだけ。これはもう生まれながらの体質としか言いようがない。
食べる行為は生きるために必要だからしている、だけ。
「…でも今はおいしい！こんなの初めてだよ！」
「…」
「そか。いっぱい食えよ〜」
「うん！あ、もうこのお皿で十分だよ。だからもう乗せないでね、ね、奏汰くん」
「ええ〜? だめ、ですか?」
「ていうか私お刺身食べれない…」
「っ…!? …? …」
「こんなに有り得ないものを見る奏汰なんて初めて見たのだよ」
うそですよね、うそだといってください…。とまるで怨霊のようにAの肩を揺さぶる奏汰くん。穏やかな見た目に反して力強い。
零はそれを見て、ふっと笑った。
こんなのも悪くない。
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かげやま(プロフ) - mmkさん» コメントありがとうございます☺️ かっこよくてカリスマがある俺零を書けてるか不安だったのでそう言ってもらえて嬉しいです〜😿！mmk様もお体にお気をつけてお過ごしください！更新頑張ります✊ (2022年8月15日 11時) (
レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
mmk(プロフ) - すごく面白いです…！！俺零様がとても好きです…！！これからも体調崩さない程度に頑張ってください！更新楽しみにしてます! (2022年8月15日 11時) (レス) @page43 id: 27732d5374 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かげやま
| 作成日時：2022年7月13日 14時
