64 追憶/ 恋心と友情 ページ14
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手芸部の部室を出た後、夏目と一緒に帰ることになったAは、ハンカチを見ては顔を緩ましていた。
夏目もそんな風に笑う彼女を見てどこか嬉しそうだった。
「明日は渉くんの舞台だよねっ、あー楽しみ！」
「ウン。君の誕生日でもある七夕モチーフの演劇だっテ」
「七夕伝説? だっけ…私あんまり知らないんだよね。内容覚えてないっていうか…」
「? 話を聞いたことはあるって言い方だネ」
「うん、ママが……、ママが…? …ううん、違う。どう、だったかな。やっぱり聞いたこともないかも…」
一瞬、絵本を持つママを思い出した。が、Aの中にそんな記憶があるはずがない。なぜならAの家には1冊も絵本なんてなかったからだ。その事実だけはしっかりと覚えている。
( 施設長と被ったのかな。あの人髪長いし…うん、そうだな )
夏目の方に顔を向けると、複雑そうな顔をしていた。
どうして夏目がそんな顔をするのだろう。
別に悲しいことなんて何一つ言ってないのに。
「あ…そっか、私が施設出身だから困っちゃったよね。ごめんね」
「…そういうわけジャ、」
「ううん！大丈夫！ママは生きてるからそんな顔しないで。
今は一緒に暮らしてないだけで後で迎えに来てくれるって約束してるのっ」
「迎えに来るってお母さんが言ってたノ?」
「そうだよ。絶対迎えに来るからって、言ってたの」
「……」
ママはきっとAを迎えに来る。
そう言ってたのだから。
「でもお話知らなくても楽しめるよね? 七夕」
「師匠が出てるんだから楽しめないなんてことはないヨ」
「ね！だよね！」
「…A、」
「ん?」
校門を出るところで、夏目が足を止めた。
急だったためAが振り返る時には距離ができていて。
目が合ってるのに何も言わない夏目に、「なあに」と笑いかける。
「どうしたの、夏目」
「『明日もいい日になるといいね』」
「！」
「ボクはプレゼントを用意してないかラ、魔法で贈るヨ」
_ 本当は、渡すつもりだった。
ネックレス、ブレスレット、髪飾り。何にしようか迷って、思いとどまったんだ。
( “友達”のボクが何かをあげてモ、意味がなイ )
「…プレゼントなんて、いらないよ。誕生日を一緒に過ごしてくれるだけですごいうれしいよ」
そう思ってたのにな。
泣きそうに笑う彼女が綺麗で困ってしまう。
きっと明日はいい日になる。
キミの隣が似合う彼と一緒なのだから。
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かげやま(プロフ) - mmkさん» コメントありがとうございます☺️ かっこよくてカリスマがある俺零を書けてるか不安だったのでそう言ってもらえて嬉しいです〜😿！mmk様もお体にお気をつけてお過ごしください！更新頑張ります✊ (2022年8月15日 11時) (
レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
mmk(プロフ) - すごく面白いです…！！俺零様がとても好きです…！！これからも体調崩さない程度に頑張ってください！更新楽しみにしてます! (2022年8月15日 11時) (レス) @page43 id: 27732d5374 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かげやま
| 作成日時：2022年7月13日 14時
