209 専用衣装/ 宝箱 ページ9
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ガチャ…とドアを開ける。
綺麗な部屋は真っ暗で、本当にここは自分の家なのかという違和感を、Aは退院してからずっと抱いていた。
今年の4月にESアイドルは星奏館で寮生活を始め、Aも本来ならそこに住む予定だったが、事務所が止めて近くのマンションに住むことになった。
引っ越しても尚林さんは生活ができないAのために週2で来てくれている。仕事なのだけど。
物欲がないAの部屋と言えばソファセットやテレビ、ベッドがあるだけ。
( どこに入れたっけ、クローゼット…? )
ソファにカバンを置いて寝室に向かう。
クローゼットは番組やライブの時にもらった衣装を保管していて、かなりかさばっていた。
Aはその衣装の下にもぐって奥にある箱を見つけた。
「…『いらない』なら、捨てればいいのに」
箱に書いてある言葉を嘲笑するが、それはかつて自分が書いた言葉だ。
( 頭痛くなりませんように )
そう祈りながら、ゆっくり開けた。
そこにはイルカのストラップ、幸運を呼ぶ人形、ネックレス。
ハンカチが入っていた。
Aはハンカチに触れる。これは、
__ 「…零がいきなり言うものだからこんな小さな物しか用意出来なくてね。本来なら君の容姿を活かして衣装など作ってみたかったのだけど。今回はこれで……何だ、その顔は」
覚えてる。宗くんが衣装も作りたがってたこと。
すごく嬉しかったから。
宗くんの衣装でステージに立てたら、歌って踊れたら。
どんなに素晴らしいパフォーマンスができるんだろう。
__「あのね、専用衣装の事なんだけど…斎宮先輩が作りたいって言ってくれたの！」
__「…は」
__「? えと…Aちゃんがよければ、なんだけど…」
「何も…よくない……。宗くんが作った衣装なんて、汚い私が着れるわけない…」
あれは、真剣にアイドルをやっている人が着る衣装なんだよ。
アイドルを辞めたい人が着ちゃいけないの。
あんずは何も分かってない。
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かげやま(プロフ) - 名無し62063号さん» コメントありがとうございますෆ ̖́- 長かったですよね、うれしいです（ ; ; ）！めちゃ重すぎてドン引かれないかドキドキしてたのでそう言ってもらえて安心しました…笑 更新頑張ります🥺💞 (2023年1月9日 22時) (
レス) id: cbb4c9f31f (このIDを非表示/違反報告)
名無し62063号(プロフ) - 一気にここまで読んでしまいました、、。主人公ちゃんの設定がめちゃ重いのがとても好きです！！更新楽しみにしています。 (2023年1月8日 1時) (レス) id: 45bc00c6c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かげやま
| 作成日時：2022年12月2日 0時
