58. 夢と現実 ページ8
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パンクしたタイヤが引きずられていく音と人々の声は同時に鳴っていた。
ドクドクと血が流れていく感覚。
「すっ…すみません…！ほんとに…！」
「大丈夫です。見た目ほど痛みはないですから。
それよりここから離れてください」
私を傷つけた彼はもう二度と
はは、いい事じゃん。
右半身を引きずってトラックに近づく。
サイドミラーに映っている橘康平は、ものすごく焦っているようだった。先程の私のように、どうすればいいのか考えているのだろうか。
私は銃を右脇の間に挟んで、力いっぱい左手で引き金を引いた。
( ああもうイッタイ馬鹿だ、馬鹿なんで信号無視なんかしたんだよこんな目に遭うんだぞアホ、バカ痛い )
「くそっ、くそが、んでこんなことに！」
「もう手遅れだって気づいた?」
「!?」
はっと顔を上げる橘康平と目が合う。
「さぞかし楽しかったんだろうなあ、あんなに傷つけて折って潰して」
「…」
「ストレス発散なんて比べもんにならないくらいの快感を得たんでしょう?
次はその男の子に逃げられないように足を切るの?
それとも何も見させないように目でも潰す?
答えてよクソ野郎」
饒舌に話す私に怯えてか、過呼吸になっている橘康平。
…何をしたってどうなったってコイツよりも新山奏太くんの方が怖いに決まってる。
助手席にあの子が乗っていないということは後ろか。
今も過呼吸になり続けている橘を放っておき、後ろの荷台のドアを開ける。そこには予想通り新山奏太くんの姿があった。
「…ひ、柊刑事…」
「……私の声聞こえてたでしょう。
君も危ないことをしたんだよ。犯人に近づくなんて。
おばあちゃんのこと、忘れた?」
「でも！」
「あとで話そう。今はここから離れないと…」
「柊刑事！犯人が！」
ここにはいないはずの声がして、咄嗟に運転席の方を見る。
そして左腕は無意識に逃げている橘の方に向けて動いていた。
「!? ダメだ、柊刑事！こんな人がいるとこで…」
──── パァンっ
( 例えば、これが自分の望んだとおりの夢だったとして。 )
人を幸せにしたくて頑張った結果だとして。
__ 私はただの人殺しになるのだろうか。
哀しいなあ。
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かげやま(プロフ) - ののいろ系女子さん» コメントありがとうございます。貴重な年越しなのにこの作品を選んでいただいてとても嬉しいです(；；)こちらこそありがとうございます！ (2020年1月16日 10時) (
レス) id: 1cd1d05918 (このIDを非表示/違反報告)
ののいろ系女子(プロフ) - とても面白いです！年またいで読んだんですが、もう大好きの域に到達してます。ありがとうございます！ (2020年1月1日 7時) (レス) id: 8fb3eabd58 (このIDを非表示/違反報告)
かげやま(プロフ) - さちさん» コメントありがとうございます(^^) 期待に添えるよう頑張りたいと思います！ (2019年12月11日 8時) (レス) id: 1cd1d05918 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろいです。続きが楽しみです。よろしくお願いします。 (2019年11月28日 19時) (レス) id: ab48ac4e7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かげやま
| 作成日時：2019年7月8日 21時
