幸せでいて欲しいからアソシエイト (ページ6)

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香り 6 ページ6

Aside

音晴｢落ち着いたかな？｣
『はい…すみません…社長…』

子供のように泣きじゃくってしまった

何故居場所がわかったのか

何故私の連絡先を知っているのか

分からないことは溢れるほどにある

音晴｢辛い事があったのは分かっていたよ
話してみてくれないかな？僕達も力になれるように｣

『はい…』

あれは私がまだモデルをしていた時

当時は誰かを踏みつけにして上に立つ事が自分の中で当たり前になっていた

他のモデルが文句を言ってきても

『貴女にそれだけの実力がないだけでしょ？』
『体調管理もろくに出来ない人にモデルは務まらないでしょ？』

などと言い放っていた

実際それで私は有名になり、一時はトップまで上り詰めた

そこで言い寄ってきたのは"月雲"だった

了｢僕の事務所でモデルをすればいい

"常に"トップにいさせてあげるよ｣

甘い囁きだった

芸能界の恐ろしさを理解していなかった私は

その手を取ってしまった

いつも張り合ってくるモデル達は私を遠巻きにして

スタッフもまるで腫れ物にさわるかのような扱い

違和感しか無かった

すぐに何をされているか理解した

ネットで騒がれる噂
だんだん下がっていく自分の評価

すぐに了さんに直談判しに行った

『了さん！！！！一体どういうこと？！なんなのよこれは！！』
了｢何って……お望み通りだろう？

君は

"常に"トップにいる｣

やっと意味が分かった

私を孤立させてツクモプロに"依存"させるつもりだったんだ

このままではいけない

社長に辞表を出し、引退を公表した

そうして私は

芸能界から身を引いた

叔父さんには事情があって芸能界を辞めた、でも近くから他人(ひと)の努力を見届けたいと伝えた

すると
音晴｢いいよ、僕のところにおいで｣
と優しく誘ってくれた

色んなアイドルを見届けた
知り合いのモデル達に心からの謝罪をした

口々に放つのは
｢あの時の貴女にはちゃんとした理想があった｣
｢自分の悪い所がよく分かった｣
｢言い方が悪かっただけ、心配してくれていたのも強くならなければ生き残れない事もあなたを見てよくわかった｣
と言う励ましの言葉

その場では堪えたが事務所に戻ると涙が止まらなかった

アイドル達は私が優しいと言うけれど
本当に優しいのは私の周りの人達だとよく分かった

『…という事なんです……』
音晴｢なるほど……思い留まってくれて良かったよ｣

優しく撫でる手

昔から変わらない大きい手に安心する