【募集企画】東方幻想記録物語8巻 (ページ38)

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人捜し　カノンページ38

「咲夜様ー、そのファラーシャ様？ってのは見つかったんですか？」

私は咲夜様に訊いた。私はよくわからないのだが、おぜうが必死になって探している『ファラーシャ』という妹を、咲夜様も探しているらしい。志貴と会ったのは捜索を手伝っていた最中の出来事で、私は今志貴の首根っこを掴みながら話している。

「ダメね、全然みたい。ファラーシャ様はぬるぬるする対日光クリームが嫌いで、外に出ていなかったのだけど、つい最近パチュリー様がぬるぬるしないクリームを開発したみたいで……多分紅魔館には居ないと思うわ。ああもう、こういう時に限ってなんで空夜がいないのかしら……！」

咲夜様は口惜しそうに空を見上げた。うーむ、推しが困っている姿は見てられんが、私が出来る事なんてその『ファラーシャ様』の幻覚でも見せて安心させるのが関の山だ。でもそれでは解決法とは言えない。一体どうしたものか……。

「なあ咲夜、そのファラーシャって奴はどんな奴なんだ？ああ、見た目の話だ」

私の後ろから、咲夜様を呼び捨てにする不届き者の声がした。まあ考えるまでもなく志貴だ。

「……え？ええと、紫色の長い髪と赤い目、あと鎌が特徴かしら。周囲には蝶々が飛んでいて、髪にも蝶の飾りをつけているわ。―――でも、貴方なんてただの人間なんだから見た目を訊いたところで……」

咲夜様は頭の上にはてなマークを浮かべながら答えた。志貴は珍しく真剣に話を聞いていて、手に持っているパソコンもどきに何かを入力しながらうんうんと唸っていた。―――そういえばこのパソコンもどきはPDAと言うらしいのだが、正式名称で呼ばないと志貴は怒ったような声で訂正してきたのだった。
志貴は画面とにらめっこしながらしばらくPDAをいじっていたが、ほどなくしてから咲夜様と私に画面を見せた。

「ファラーシャってのはこいつか？近くにはお前にそっくりの奴がいるが」

「―――ええ、確かにファラーシャ様よ。でも貴方、どうやって……」

見せられた画面には、確かに咲夜様が言った特徴に合致する人物が居た。そして横には白髪で桃色の瞳のメイドが、反対側には咲夜様と瓜二つな和風メイドが立っている。私は咄嗟に志貴の目を見た。

「もしかして志貴、これってあんたの……能力？」

志貴は一瞬きょとんとして、一拍置いてから「ああ、そうかもだな」と笑う。

「でものんびりはしてられなさそうだぞ。俺はよくわかんないが、こいつらは共謀して何かしようとしてるみたいだ。大事になる前に、さっさと引き戻した方がいいんじゃないか？」