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智「け、こは･･･やっ涙」
和「･･･ん？なに？」
智は、顔を近づけないと何を言っているかわからないくらい小さな声で呟いている。
和「どうしたの？」
智「けぃ、っこ･･･やだっ」
あぁ。経口の内視鏡が嫌だとダダこねてるわけですか。
ま、誰だって嫌だわな。
伊「何だって？」
和「あぁ、経口の内視鏡じゃやだって。」
伊「大丈夫ですよ〜。うちは経鼻内視鏡ですからね。」
経口の内視鏡だと、どれほど技量のある医師が行っても、多少の咽頭反射は避けられない。
その不快感から、内視鏡を嫌う患者は多いのだ。
その点、経鼻だと患者への負担も軽減されるため、和也の病院では経鼻内視鏡を早くから取り入れていた。
伊「お鼻に麻酔しますからね〜。ちょっと気持ち悪いですよ。」
智「･･･んんっ！」
反射的に顔を背けようとするのを、和也が抑制する。
伊「じゃあ管入っていきますね〜。違和感あるかもしれないですけど、リラックスしててくださいね。」
智「は、ぃ･･･」
胃痛のせいか緊張のせいか、きゅっと固くなっている智の背中を、和也は固定しながらも撫で続けた。
伊「あぁ、結構荒れてるね；こことここ、潰瘍起こしてる。もうちょっと早く処置できてたら、ここまでひどくならなかったんだけどな･･･」
和「ったく、智にぃは自分のことはいつも後回しにするんですから･･･」
伊「和、薬処方してあげてね。検査終わりましたからね。今から管抜きますよ〜。」
智「ん〜；」
伊「気持ち悪かったですね。もう終わりですよ〜。」
智「あり、と、ござ、ましたっ･･･」
和「ありがとう、助かったよ。」
伊「いえいえ。お大事に！」
薬剤部で薬を処方してもらっている間に、処置室で点滴をし、痛みが和らいだところで家に戻った。
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作者名：*さくらばー* | 作成日時：2020年12月24日 23時
