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「へえ。知らないなあ」
「せめてお前らだけは、陽の当たる所でお爺ちゃんお婆ちゃんになるまで笑顔で生きて欲しいそうだ。
その為ならば自分はいらないと。
だから月の警備担当地区は他の柱に比べても広い。お前たち軍警のシマの近方までを担当している。
齢18の女がだぞ。一人で修羅の道を進んでいるんだ。
お前らが、お前が、そうやって彼女を連れ出せば次の日の仕事量は倍では済まない。
優しい月は何も言わずに笑顔でついていく。
もう俺は見ていられない。
月が歩んでいく先は自滅だ。
自分の未来なんて見ていない。彼女の語る未来に、彼女が出てこないんだよ」
静かに最後まで聞いてやれば。
本当に何もわかっちゃいない。
「あのなあ、一応言うなれば俺も月神やで?見てみぃこの痣。俺だってもう命はない」
包帯を解いてみせる。
桜の枝花のような模様の痣が腕の広範囲に出ている。
「俺はお前などどうでも良い。勝手に死ね。鬼に喰われそうになった時のみ仕事柄として助けてやろう」
その瞳に光はない。
こいつ。
「はあ。お前心死んでんなあ。蛇ってのは
そんなに心無いんか。そんなお前こそきらりに近づいてもらっちゃあ困るなぁ。もうお前のそれはヒトを辞めている」
「なんだと?」
「独占欲の塊やなお前。よお分かった。きらりのことが大好きなんやな。でもなあ、お前の抱えていて俺に吐き出した理不尽なそれは、お門違いのそれは、嫉妬って言うねん」
.
「そしてお前は嫉妬に狂った鬼や。討伐されるべき醜い鬼やな」
あえて蛇男の嫌であろうワードを使って挑発する。
鬼殺の人間ならば、何かしら鬼に執念がかったトラウマがあるときらりが言っとったしな。
「ッッッ!!お前が!!才能ある、未来ある月をッ!!」
「ちょ、伊黒さん」
蝶の女の子が止めようとするが止まらない。
「ッフ、」
ほら、引っかかった。
ちょろいやつやな。
チビが頑張って俺の襟元掴みよって。
「ちなみに才能ってなんなん?鬼殺しか?それとも治癒か?」
「どちらも然りだ」
ほら。やっぱりこいつ何もわかってない。
「あのなあ。いつきらりが鬼殺の月神としての生を選んだっちゅうんや。違うやろ。
いいか、勘違いすんなや。
彼女が強いのはそうなるしかなかったからや。俺らは幼い時からいろいろと叩き込まれるんでな。
覚えておけ。選択肢を与えられなかった適性は素養とは言わない。それは “呪い” っていうんや。彼女にとっては “呪い” でしかないねん」
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ハク(プロフ) - 無気力人間Aさん» Aさんはじめまして、コメントありがとうございます!そんなに褒めてくださって嬉しすぎます〜〜!!励みになります!がんばってお話進めて行きますのでこれからも夢主ちゃんの旅路を見守ってあげてください! (2019年11月19日 13時) (レス) id: 0ebe25b1eb (このIDを非表示/違反報告)
無気力人間A(プロフ) - コメ失礼します!小説に入り込みすぎて見つけてから今までぶっ通しで読んでしまいました、、ほんとに面白くて好きです!文と文も程よく間が空いていて読みやすいです!!とてつもなく続きが気になります、、更新頑張ってください! (2019年11月19日 3時) (レス) id: 59ffb7dac7 (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - あさん» あさんはじめまして!コメントありがとうございます〜〜!!とても嬉しすぎる言葉です、、!最近忙しくて更新難しいんですけどこの後もお話続きますので良ければご贔屓お願いいたします! (2019年11月1日 23時) (レス) id: 0ebe25b1eb (このIDを非表示/違反報告)
あ - すごく面白かったです(^^)、全部好きでシリーズの初めから一気読みしてしまいました…、これからも更新楽しみにしてます (2019年11月1日 18時) (レス) id: 87b58a18e6 (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - Nonさん» のんさんありがとうございます〜!!めちゃめちゃ励みになります!マイペース更新になってしまうんですけどどうかご贔屓ください( ; ; ) (2019年10月5日 20時) (レス) id: 0ebe25b1eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハク | 作成日時:2019年7月29日 0時