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「待ってよ、でもそれ夢でしょう?現に私は無一郎の目の前にいるし、まだいなくなりはしない。耀哉だって私が終わらせない。だから、ね?」
「ほら、また。無意識に自分を犠牲にした。
、、、その包帯、バレてないとでも?誰も触れないだけでみんな気にしてるんだよ。知ってた?」
「それは、、、」
目に見えるよりは隠れた方がマシだと思うから。
お目汚しでしょう。伊織とも話した。お互い危険な現場勤めで後先長く無いんだし、とも。
「他の人がどう思ってるかは知らない。
でもね、僕は怖いんだよ。きらりが僕の前からいなくなることが一番怖いの。拒まれることが、怖い。
上手く息ができなくなるんだ」
知ってるとも。
君が神経質に拒まれることを恐れていることくらい。そして何度も私が落ち着かせてるじゃないか。
「でも、こんなに正直に伝えても、きらりは言葉なんかじゃあわかってくれない。
僕のこの気持ち、思い。
だからね、この前宇髄さんに相談してアドバイスをもらったんだよ」
なになになに?待って天元さんって言った?
相談する相手間違えたでしょおかしいでしょ?
「、ちなみになんて言ってたの?天元さん」
その質問には答えてくれない。代わりに、月明かりに照らされた端正な顔でこう囁かれた。
「今から僕の思いの重さ、教えてあげるね」
そう言って元より近いのに更に近づいてくる。
嘘でしょ待ってまってちょっとまって。
「ちょっ、待って、無一郎」
「だめ、待たない」
2人の距離がゼロになる。
死んじゃうと思った。
だってこんなの知らない。思いもしない。予想できたわけがない。
体が熱い。
翡翠色の瞳が私を捉えて逃がさない。
水音が響く。
熱い舌がわたしをぐちゃぐちゃにしていく。
手首を握っていたはずの手はいつのまにか手のひらに移動していた。
4つも下の、弟のように可愛く思っていた子の手が振りほどけない。
力が入らない。
生理的な涙が出てくる。
どうしようもなく、高揚感。
「かわ、いい」
そう言うとまたはじまる。
無理だよ死んじゃう。
あまりの感覚に私は目を閉じる。
しかしそれを翡翠色が許さない。
「だめだよ、きらり。僕を見て?」
いつもぼんやりとしているのに、今だけはその翡翠色が光を含んでいた。
そんな気がした。
高揚した彼の頰。
満足そうな顔。
2人を繋ぐ銀の糸。
照らされるは月明かり。
むりだよむり。
いつだって気にかけてたよ。見てたよ。
でも今だけは、見てられない、
その言葉は、発することを許されず。
ーーーーーー
本誌がしんどすぎて私が死んじゃう。
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ハク(プロフ) - 無気力人間Aさん» Aさんはじめまして、コメントありがとうございます!そんなに褒めてくださって嬉しすぎます〜〜!!励みになります!がんばってお話進めて行きますのでこれからも夢主ちゃんの旅路を見守ってあげてください! (2019年11月19日 13時) (レス) id: 0ebe25b1eb (このIDを非表示/違反報告)
無気力人間A(プロフ) - コメ失礼します!小説に入り込みすぎて見つけてから今までぶっ通しで読んでしまいました、、ほんとに面白くて好きです!文と文も程よく間が空いていて読みやすいです!!とてつもなく続きが気になります、、更新頑張ってください! (2019年11月19日 3時) (レス) id: 59ffb7dac7 (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - あさん» あさんはじめまして!コメントありがとうございます〜〜!!とても嬉しすぎる言葉です、、!最近忙しくて更新難しいんですけどこの後もお話続きますので良ければご贔屓お願いいたします! (2019年11月1日 23時) (レス) id: 0ebe25b1eb (このIDを非表示/違反報告)
あ - すごく面白かったです(^^)、全部好きでシリーズの初めから一気読みしてしまいました…、これからも更新楽しみにしてます (2019年11月1日 18時) (レス) id: 87b58a18e6 (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - Nonさん» のんさんありがとうございます〜!!めちゃめちゃ励みになります!マイペース更新になってしまうんですけどどうかご贔屓ください( ; ; ) (2019年10月5日 20時) (レス) id: 0ebe25b1eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハク | 作成日時:2019年7月29日 0時