夜蝶達 ページ16
私達の夜に生きる人間は朝が遅いと思われがちだが真逆だ。
特にショービジネスを兼任しているclubエデンは舞台もこなしているので朝はしっかり起きる。
「ワン、ツー、スリー!」
手拍子でリズムを取り、ダンサーが踊る。
「リズムに乗って、はいもう一度!」
エデンでは成功のおもてなしと一緒にお客様を楽しませるダンス、歌を披露する。
時には生演奏をするパフォーマーでもある。
「夏樹、もっと前に出て!」
「はい!」
「沙也加!リズムが早いわ…都はそのまま」
ホステスでありながらダンサーである彼女達は私達の店の稼ぎ頭でもある。
彼女達の美しいダンスを楽しみにしているお客さんも多く、芸能界関係者からもオファーが来るほどなだ。
「すごいな。本物のショーを見ているみたいだ」
「当然よ。特にセンターの夏樹は本場アメリカの元スター。他の子達もプロに負けない程抜群のセンスを持っているわ」
「そうなの?何でホステスに」
「夜町には事情を抱えた子が集まるのよ」
ここでは事情があっても深く追求しない。
行き場を失った子達を拾ってくださったオーナーは少し変わった人だけど。
懐が広い人なのだから。
「未成年で夜の街で働くのは事情が多いのよ。孤児だったり、親に捨てられたり」
「ごめん」
逆に裕福な家庭に育っても家に居場所がなく逃げ込んで来る人だって少なく無い。
「Aさん、おはようございます」
「「「おはようございます!」」」
他のホステスの前では私はママと呼ばれているけど彼女達は営業がない時は名前で呼ばれている。
その理由は私が彼女達のまとめ役をおおせつかっているからだ。
「Aさん、そこの男は誰です?」
「お臭いわね…Aさんの隣に立つなんてなんて図々しのかしら」
「でも結構いけてなくない?」
隣にいる景光を品定めする彼女達に苦笑する。
「ああ、見学よ。来週からここで働いてもらうから」
「なるほど黒服ですか」
「黒服?」
「は?ちょっと…そんなこともしらないわけ?ありえない」
「Aさん、まさか道端で拾って来たんじゃないですよね?使えないじゃないですか!」
夏樹と沙也加が不満を零す。
二人はこのメンバーのダブルエースと呼ばれているからなのだろう。
「最初は皆初めてよ。ダンスだってステップを踏んでからでしょ?」
「それは…そうですが」
「この業界の事は知らないけど。護衛としては申し分ないわ。頭も切れる」
彼女達と上手くやれることを祈ろう。
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killerハリケーン(プロフ) - とても、面白いです。更新楽しみにしてます (2022年7月27日 12時) (レス) id: 720db65644 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ししゃも | 作成日時:2022年7月14日 14時