【名探偵コナン】降谷零に寵愛された理由

諸刃の剣 ページ10

私は切り札となっても使い方によっては自分を傷つけるものになりかねない。

「私の父の後ろ盾がなくても貴方は出世はします」

「何故そう言い切れるんですか」

「貴方が真っ当な心を持ち警察官としての信念を持っておいでだからです」

原作でも何度も目にした。
安室さんの時もバーボンの時も彼は黒に染まり切れていない。

悪に染まることを良しとしない高潔さを持ち合わせている。

「母校の教えでもあります。高貴さとは心にあり、生まれ持った高貴さなど存在しません」

打算的なモノではなく本音だった。
この人に駆け引きなどできるはずはない。

時として駆け引きよりも真心を持った方が相手に響く。

「貴方はご自分の道を自らの手で切り開ける方です」

政略結婚などせずとも地位は後からついて来る。

「正しいと思う道にまっすぐ進めばいずれ人は集まるでしょう」

人の上に立つべき人というのは限られている。
だからこそ降谷さんの道を壊したくない。

この世界はゲームかもしれないけど。
現実でもあるのだから私は不幸になると解っているならば阻止したい。

「まるで貴方と結婚すれば僕が不幸になるような言い方ですね」

「っ！！」

僅かに怒りがこもった表情だった。

私はかなり偉そうなことを言ってしまったのではないか？


「申し訳ありません…無礼を」

失言をしてしまった。
けれど不快に思っているならば、私との婚約を考え直そうとしてくれるかもしれない。


「貴方の事情は伺っています」

「…はい」

「婚約者の方に随分と酷い扱いを受けたことも」

は？


何を言っているんだこの人は？

一方的に婚約破棄を言い渡されていたけど。
私が色々やらかしたのは事実であり加害者ということになっているはず。

なのにどうして私が被害者だというような言い方をするんだろう？

何か勘違いをしてない？

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