お父様と交渉 ページ8
その夜、お父様が帰って来た。
「お嬢様旦那様がお呼びです」
セバスチャンに言われて来たか!と思った。
「お嬢様」
「行ってくるわフィリーネ」
松葉杖をつきながらお父様の部屋に向かう。
「入りなさい」
「失礼します」
扉を開けて中に入る。
「A…」
部屋に入ると同時にお父様の表情が一変する。
「その怪我は」
「少々転びました」
苦しい言い訳だが笑顔で言えば何も言えない。
「学園でのことは既に私の耳に入っている」
「この度は私の浅はかさ故…ですがお父様からすれば好都合だったはずです」
ピクリと眉を動かす。
「早乙女家は旧華族でありますが穏健派。対して加地家は過激派です」
現在上流階級の中でも旧華族の中には派閥争いが存在する。
早乙女は多くの官僚を世に送り出してきたが不正をするような人間はなく完全な実力主義だった。
けれど政治家とは不正をする者も多く、警察官の上層部も同じくだった。
そんな連中からすればお父様は邪魔な存在でしかないが、取り込めばこれ以上ない程の後ろ盾を得られる。
警察庁長官の後ろ盾を得られれば私腹を肥やしやりたい放題できると言う算段。
「穏健派の筆頭であるお父様と過激派の加地家とは相いれない存在…私との婚約が破談になっても家自体にはそこまで大きな打撃になりません」
「あくまで世間ては問題ないと言うことだね?」
「私が虐めをしたという証拠はありません、現に注意こそしても直接手を下さしませんでした」
これまでの出来事は私が嫌味を言う程度。
噂はあれど公の場で私は冷静に対応したので多少の弱みになってもそれほど打撃はない。
「私をしばらく自宅謹慎をするか、勘当していただければ相手側も強く出れません」
実際公の場では令嬢らしく振る舞い毅然としてきたのだから。
「後は私が家の支援なく一人で生きて行けば体面を取り繕うこともできます。これですべて解決ですわ」
「なるほど面白い考えだ…しかし君は私を甘く見過ぎている」
「はい?」
お父様は深いため息をつく。
「この度の婚約は確かに痛いが、所詮は当人同士のこと。問題にする程度ではない」
「はぁ…」
「そもそも、この婚約は私の望む所ではない。だが婚約者に婚約破棄をされたのでは外聞が悪い…よってこちらで決めた婚約者と婚約してもらう」
「えっ‥」
一応言っておくが今日婚約破棄を言い渡されたばかりだ。
ゲームでは婚約の話が出たのはもう少し先の話だったはずなのにどうして?
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まみこ(プロフ) - おもしろいです、更新頑張ってくださいです!! (2022年8月31日 4時) (レス) @page27 id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
人形師(プロフ) - 面白いです!続きが気になります。 (2020年6月7日 2時) (レス) id: 05191dc1a4 (このIDを非表示/違反報告)
ポテと(プロフ) - 面白いです!!更新がんばってください!! (2020年1月21日 9時) (レス) id: 82c559de23 (このIDを非表示/違反報告)
MAICO - すいませぇぇん!!お相手書いていました。よく最初を読んでなかったものですいません、 、以後お言葉には気おつけます、、、、あはは (2019年12月3日 21時) (レス) id: 164c86cd11 (このIDを非表示/違反報告)
MAICO - 最高です。物語は、自分で決めているからね...でも凄く面白いし、すぐ読みたくなるし、とにかく好きです!更新是非楽しみに待っています!!頑張って下さい!ちなみに、オチはきまってますかね??秘密だったら楽しみにしています!更新頑張って下さい!!!!!(うるちゃい) (2019年12月3日 21時) (レス) id: 164c86cd11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ししゃも | 作成日時:2019年11月3日 16時