アクアフィリア ／ zm ページ3
こぽ、こぽり。空気の泡が小さな音を立てて水面へと上がっていく様をゾムは静かに見詰めていた。全身を水に包まれるこの時間が、ゾムは何よりも大好きだった。
しかし、その時間はいつまでも続くことはない。バシャン、と大きな水飛沫の上がる音が聞こえたと思った瞬間、何者かに腕を捕まれそのまま陸へと引っ張られる。
｢っ、はぁ、は、あ、何やってんの、ゾム。｣
｢…A、俺、別に溺れとる訳ちゃいますよ？｣
俺の言葉を聞いた彼女は、疑うような視線を此方に向ける。そんな目されても、嘘なんてついてへんのに。何を言われるのか、ときらきらと輝く水面を見つめながら彼女の言葉を待っていると、小さな声が耳に入る。
｢毎度毎度海なんかに潜って、帰ってこないし。……心配なのよ、馬鹿。｣
心配。その言葉にぱちぱちと瞬きを繰り返すと、彼女は恥ずかしそうに頬を赤く染めた。｢聞かなかったことにして、｣ と小さく告げて帰ろうとするAの腕を掴むと、にんまりと笑みを浮かべる。
｢心配なんやったら、ちゃんと見守っといてや。｣
｢へ、｣ と間抜けな声を漏らす彼女を引っ張り、そのまま自身の体と一緒に彼女の体も水中へと引き摺り込む。突如水中へと全身を連れ込まれた彼女は焦りからか、口から大量の水を体内へと送り込む。
ごぽごぽ、と大きめの泡が上へと登っていく様を見届け視線を移すと、彼女は今にも死んでしまいそうな顔で此方を見ていた。上がりたくても俺に腕を掴まれているから上がれないのだろう。苦しそうに腕や足をばたつかせている。
｢ん、ふ、あかん、凄い興奮してもうた。｣
誰に届くこともない、脳内で独り呟いては彼女の意識が飛ぶ前に、と急いで水面へと向かう。陸に上げてやると、｢最悪、｣と小さく呟くのが耳に入った。その言葉を聞いて、徐々に自身の口角が上がっていくのが分かる。逃げぬようにと彼女の両腕を地面に縫い付け、上に跨る。
｢な、なに、ぞむ、え…、？｣
怯えた表情の彼女を見て、少し可哀想な気もするがこれは仕方ないことなのだ。水に濡れる彼女の顔を見て呟く。
｢綺麗やったで、A。次もまた溺れてや。｣
一瞬にして青ざめた彼女の顔。そんな顔を見ても、俺は先程の水中で溺れ苦しむ彼女の姿を思い出し、体に熱を持たせてしまっているのだった。
─
アクアフィリア：溺水性愛。海やプールなど、水辺や水中などに性的興奮を覚える。更には溺れることや、水中で苦しむ姿を見ることに快感を持つとも言われる。
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平凡な人(プロフ) - うん。凄い。性癖にドストライクで刺さりました!更新楽しみにしています！ (2022年2月3日 20時) (
レス) @page9 id: 244f5e227a (このIDを非表示/違反報告)
空白(プロフ) - めちゃくちゃ好みです！！毎回更新楽しみにしてます♡ (2022年1月26日 10時) (レス) @page22 id: 765b91b6bf (このIDを非表示/違反報告)
りんごうまい - ところどころ性癖に刺さった (2021年10月21日 23時) (レス) @page20 id: ef60100ca2 (このIDを非表示/違反報告)
たらい(プロフ) - ど趣味でえぐいっすふファンになりやした (2021年8月1日 0時) (レス) id: 0b993ff198 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - 好きです!! (2021年6月13日 14時) (レス) id: f606088b79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悲哀 | 作成日時：2021年5月28日 19時
