オードントフィリア ／ kn ページ17
｢はい、コネシマ。あー、って、口開けて。｣
此方の頬を両手で挟み、うきうきとした様子の彼女の言葉に従い大きく口を開く。鋭く、まるで犬のような歯が並ぶ口内を見て彼女はうっとりと表情を綻ばせた。初めは羞恥やら何やら色々な感情が渦巻いていたが、今ではすっかり慣れてしまった。それくらい彼女は飽きずに何度も歯を見せろとせがんできていた。そして今日も、例に漏れずそうだった。
五分か十分か。そろそろ顎が疲れてきた、と彼女に目で訴えて見るも全く此方を見る気配は無い。相変わらずじっと口内を眺めているだけ。ほんまコイツ、俺やなくて俺の歯が好きなだけやろ。じわりじわりと怒りが湧き、自身の頬を挟む手を強く掴み引き離す。彼女は驚いた表情で此方の顔を見る。今更もう遅いねん。
彼女の手首に掴み直し、座っていたソファへと押し倒す。俺の顔を見て、彼女の肩がびくりと大きく揺れる。今、俺はどんな顔をしているんやろうな。
｢ね、ごめん、謝るから、やめ、｣
彼女の制止の言葉を無視し、首元へと顔を近付けては先程と同じように大きく口を開く。彼女の瞳に恐怖と興奮が混ざり、揺れる。その瞳を横目に、容赦無く首筋へと噛み付く。息の根を止めるかのように、強く。
気が付けば自身の口端からは唾液が垂れ、口内には鉄の味が広がっていた。組み敷く彼女の首元は多くの噛み痕が残り、所々出血している。やり過ぎた、と彼女の顔を見ると、彼女はぼろぼろと涙を零しながらも微笑んでいる。そんな彼女に驚き、ぴたりと動きを止める。何で笑っとるんや？そんな疑問をぶつける前に、腰に足を回され彼女へと引き寄せられる。急に近付く彼女の顔。彼女は蕩けた瞳で此方を見詰め、告げる。
｢こねしまぁ。もっと、つけて、♡｣
ぷつり、どこからが理性の切れる音がした。彼女の唇に噛み付くように口付けてやれば彼女は双眸を細め必死に答えてくれる。小さく口を開くと此方の歯を舌先で必死になぞり始める。そんな姿が酷く愛おしく、口内を掻き乱す舌先を甘噛みしてやれば甘い声が頭に響く。こんなん、我慢できる訳ないやろ。
｢そんなに好きなら嫌ってくらいつけたるわ。｣
覚悟せえよ。その言葉に嬉しげに頷く彼女の唇に、再び口付ける。今夜はきっと、楽しくなるやろな。
─
オードントフィリア：歯や歯茎に執着・偏愛する性的嗜好。差し歯や入れ歯、虫歯、抜けた歯等も含まれる。これに加虐性が加わると「他者の歯を抜く行為」に性的興奮を覚える性癖倒錯となる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 397人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
平凡な人(プロフ) - うん。凄い。性癖にドストライクで刺さりました!更新楽しみにしています！ (2022年2月3日 20時) (
レス) @page9 id: 244f5e227a (このIDを非表示/違反報告)
空白(プロフ) - めちゃくちゃ好みです！！毎回更新楽しみにしてます♡ (2022年1月26日 10時) (レス) @page22 id: 765b91b6bf (このIDを非表示/違反報告)
りんごうまい - ところどころ性癖に刺さった (2021年10月21日 23時) (レス) @page20 id: ef60100ca2 (このIDを非表示/違反報告)
たらい(プロフ) - ど趣味でえぐいっすふファンになりやした (2021年8月1日 0時) (レス) id: 0b993ff198 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - 好きです!! (2021年6月13日 14時) (レス) id: f606088b79 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：悲哀 | 作成日時：2021年5月28日 19時
