ゼロフィリア ／ syp ページ14
｢Aさん、俺のことどう思ってるんですか？｣
｢……どう、って？｣
｢好きなんですか。｣そう呟くと、彼女は楽しげに微笑んだ。その表情に、言葉にできない程の怒りが込み上げる。
いつからか、彼女は帰宅時間が遅くなった。気が付けば彼女は毎日違う香水の匂いを身に纏い、少し乱れた服装で帰宅するようになっていた。俺の知らない誰かに抱かれた体で、さも当然のように｢ただいま。｣と俺に笑みを向けるのだ。それを、恋人である俺が許せる筈がないだろう。もう、我慢の限界だった。
｢好きじゃないなら別れてください。他に良い奴が居るなら、そっちに行けばええ。｣
｢私が好きなのはショッピ君だけだよ。……そんなに怒っちゃって、もしかして嫉妬？｣
嫉妬。嗚呼、そうですよ。愛する女が他の男には体を許すくせに自分には許してくれない。嫉妬しない訳ないだろう。未だ楽しげに微笑む彼女の肩を掴み、強く壁に押し付ける。ドン、と大きな音が鳴り、彼女が表情を歪めた。それくらいの痛み、俺が我慢してきたもんに比べたら可愛いもんやろ。
彼女の顎を掴んでは唇を重ね、舌先で無理矢理口をこじ開け深い口付けをする。彼女の苦しげな声が徐々に甘美なものに変わっていく。気付けば俺の怒りも興奮へと変わっていた。二人の舌が絡まるぴちゃぴちゃとした水音と彼女の荒い息遣いだけが部屋に響く。何十秒か、何分か。暫くし口を離すと、Aは苦しげに肩で息をしながら腰を抜かした。下を向き大きく息をする彼女の顎を再び掴み、此方を向かせる。様々な感情が入り交じっているであろう瞳で彼女の瞳を見つめ、告げる。
｢次したらどうなるか。わかってますよね？｣
潤んだ瞳で小さく頷く彼女に｢いい子。｣と優しく声を掛け抱き締める。これでずっと、は無理だろうが当分は大人しくなるだろう。
──なんて、そんな事を考えているショッピは知る由もない。怯えたように弱々しく、自身の背に手を回した彼女が自身の胸の中で笑みを浮かべていることを。
｢嫉妬されて興奮するような女でごめんね。ショッピ君。｣
｢また明日も浮気するけど許してね。｣
小さく呟かれたその言葉は、彼に届くことなく胸の内へと消えていった。
─
ゼロフィリア：第三者が、傍観者としてではなく、直接的に介入する事から生じる「嫉妬」の感情が起因とする性的嗜好。ジェラシーによる興奮は人間ではなくとも動物にも持ち合わせている感情であり、生物としてむしろ自然な情念とも捉えられる。
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平凡な人(プロフ) - うん。凄い。性癖にドストライクで刺さりました!更新楽しみにしています！ (2022年2月3日 20時) (
レス) @page9 id: 244f5e227a (このIDを非表示/違反報告)
空白(プロフ) - めちゃくちゃ好みです！！毎回更新楽しみにしてます♡ (2022年1月26日 10時) (レス) @page22 id: 765b91b6bf (このIDを非表示/違反報告)
りんごうまい - ところどころ性癖に刺さった (2021年10月21日 23時) (レス) @page20 id: ef60100ca2 (このIDを非表示/違反報告)
たらい(プロフ) - ど趣味でえぐいっすふファンになりやした (2021年8月1日 0時) (レス) id: 0b993ff198 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - 好きです!! (2021年6月13日 14時) (レス) id: f606088b79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悲哀 | 作成日時：2021年5月28日 19時
