ノソフィリア ／ tn ページ13
｢ん……、とんと、ごめ、｣
｢大丈夫やで。無理して話さんでええ。｣
げほげほ、と苦しげに表情を歪め咳き込んだAは、潤んだ瞳で此方を見つめた。そんな彼女にふつふつと湧き上がる興奮を隠すように笑みを向ける。彼女は安心したように微笑み、寝具に体重を預けた。
今日は三ヶ月ぶりのデートの日。だったのだが、彼女は珍しく風邪を引いてしまったらしい。早朝に泣きながら電話が掛かってきた時は本当に吃驚した。前々から計画していた水族館デートが無くなってしまったのは残念だが、彼女が体調を崩してくれて嬉しい、と思う自分もいる。彼女には悪いとは思っているが。
｢っげほ、は、ぁ、…、かぜ、うつるよ？｣
苦しげな彼女。ぞくぞくと体を走る興奮が大きくなる。つい見蕩れていると、｢とんとん…？｣と不安げに彼女が此方の名を呼んだ。我に返り、再び笑みを浮かべては優しく頭を撫でてやる。不思議そうな、けれども嬉しそうな表情をして彼女は目を瞑った。
｢ん、心配せんでも大丈夫やで。しんどいやろ、ずっと傍おるから、寝てええで。何かあったら声掛けてや。｣
｢えへ、ごめんね。ありがと、｣
掠れた声で呟いてすぐ。彼女は規則的な寝息を立て始めた。しかし、時折咳き込む姿は苦しそうで、可哀想である。が、彼女のそんな姿に昂りが抑えられない。
自分が異常な事には気付いていた。病気になった人間に興奮してしまうなど、普通ではない。それでも、それを自分でどうこうできる筈もなく。彼女のお陰で治まっていた気になっていたが、違ったらしい。愛しい人の苦しむ姿で興奮してしまう自分を軽蔑しながらも、眠る彼女の横で一人、昂りを抑える行為を行う。
｢ッ、は、嗚呼、もっと、｣
俺に、苦しむ姿を見せてくれ。熱により赤らんだ頬。汗で肌に張り付く髪の毛。苦しげな息遣い。嗚呼、もっと、それ以上。嘔吐く姿はどうやろか。上手く息ができずに涙を流す姿もええな。
｢………なんて、ごめんな、A。｣
最低な想像で、欲を吐き出す俺を知ったら、コイツはなんて言うやろか。何を思うやろか。軽蔑か。侮蔑か。まぁ、何でもええわ。彼女にバレるまで、この幸せに浸らせてくれ。
眠る彼女の頭を優しく撫で、トントンは愛おしげにその顔を見つめるのだった。
─
ノソフィリア：病気や病症状態の身体(精神的にも)に性的興奮の対象となる性癖。弱っている人に興奮する「病気愛好」。
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平凡な人(プロフ) - うん。凄い。性癖にドストライクで刺さりました!更新楽しみにしています！ (2022年2月3日 20時) (
レス) @page9 id: 244f5e227a (このIDを非表示/違反報告)
空白(プロフ) - めちゃくちゃ好みです！！毎回更新楽しみにしてます♡ (2022年1月26日 10時) (レス) @page22 id: 765b91b6bf (このIDを非表示/違反報告)
りんごうまい - ところどころ性癖に刺さった (2021年10月21日 23時) (レス) @page20 id: ef60100ca2 (このIDを非表示/違反報告)
たらい(プロフ) - ど趣味でえぐいっすふファンになりやした (2021年8月1日 0時) (レス) id: 0b993ff198 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - 好きです!! (2021年6月13日 14時) (レス) id: f606088b79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悲哀 | 作成日時：2021年5月28日 19時
