ダクライフィリア ／ ut ページ2
｢ねぇ、鬱。私のこと、嫌いなの？｣
彼女の頬を一粒の涙が静かに流れていく。悲しそうな、寂しそうな瞳で此方を見つめるAは、それ以上泣くのを我慢しているのか、目に涙をいっぱいに溜めている。
｢嫌いやないで。愛しとるんよ。｣
そう、彼女の事は愛している。心の底から大切にしたいとも思っている。しかし、彼女以上に俺の心を奪うものがあるのも事実である。
｢じゃあ、うわきなんて、しないでよぉ、｣
我慢が限界に達したのか、ぼろぼろと瞳から涙を溢れさせ、彼女は震えた声で此方に訴えかけた。彼女の頬を伝う涙は一粒一粒が宝石のように美しく、つい目を奪われてしまう。やはり、僕の愛する人の涙はこの世の何よりも美しく、儚い。
彼女の泣き顔に自身が昂っていくのを感じながら、優しく彼女を抱きしめる。ぽんぽん、と背中を撫でながら、耳元にて呟く。
｢ごめんね、Aちゃん。僕、こんなに大切にしたいと思う人初めてで、どうしたらええか分からへんくなってもうて。｣
｢他の女相手にすれば、何か分かると思ったんよ。｣
できるだけ暗い声色で、弱々しく告げる。首元に軽く額を押し付け、｢ほんまに、僕には君だけなんよ。｣ と呟くと、彼女が此方の頭を優しく撫で始める。
｢……鬱って、ほんとに不器用だよね。｣
ちらり、横目で彼女を見ると、その顔は穏やかでいつの間にか涙も止まっていた。少し残念に思いながらも、彼女が自分と別れる気は無いことを感じ安堵する。
嗚呼、良かった。これで、これからもずっと、彼女も、彼女の涙も泣き顔も、全部僕のものや。
｢愛しとるよ、Aちゃん。ずっと一緒におってな。｣
さて、次はどうやって泣かそうか。
幸せそうな彼女に口付けながら、先程の彼女の泣き顔を思い出し笑みを零した。
─
ダクライフィリア：泣哭性愛。泣くこと、涙そのものなどへの性的嗜好。
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平凡な人(プロフ) - うん。凄い。性癖にドストライクで刺さりました!更新楽しみにしています！ (2022年2月3日 20時) (
レス) @page9 id: 244f5e227a (このIDを非表示/違反報告)
空白(プロフ) - めちゃくちゃ好みです！！毎回更新楽しみにしてます♡ (2022年1月26日 10時) (レス) @page22 id: 765b91b6bf (このIDを非表示/違反報告)
りんごうまい - ところどころ性癖に刺さった (2021年10月21日 23時) (レス) @page20 id: ef60100ca2 (このIDを非表示/違反報告)
たらい(プロフ) - ど趣味でえぐいっすふファンになりやした (2021年8月1日 0時) (レス) id: 0b993ff198 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - 好きです!! (2021年6月13日 14時) (レス) id: f606088b79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悲哀 | 作成日時：2021年5月28日 19時
