85.帰還 ページ36
数日後、私やアオイさんの代わりに宇髄さんに着いて行った炭治郎くんたちが帰って来た。
帰って来たと言っても、3人とも意識不明の重体となって運ばれた。
炭治郎くんと善逸くんはあちこち骨折しているし、伊之助くんに関しては胸を突かれていた上に、毒が回ったせいで呼吸による止血が遅れたらしい。
宇髄さんも左腕を失う大ケガをしていた。
肝心の毒の方は禰豆子ちゃんの血鬼術によって綺麗に解毒されていたけれど、ボロボロになって戻ってきたみんなの姿に言葉を失う。
アオイさんは震えていた。
本来であれば自分がこうなっていたかもしれないのだから当然だ。
いや、彼女ではこれぐらいで済まなかったのかもしれない。
そしてかく言う私も、一歩間違えればそこに放り込まれそうになっていたのだからおそろしい。
「宇髄さん…」
ベッドの上で意識のある宇髄さんに声を掛ければ彼が私へ顔を向けた。
「よぉ、時透嫁。…お前、派手にひでぇ顔してんな」
「宇髄さんがこんななるなんて想像もしてませんでしたよ。…よく何の役にも立ちそうもない私を連れて行こうと思いましたね」
言えば「悪かったって」と笑う。
その姿に思っていたより元気そうで安心した。
「誰だいアンタ?」
話していると、後ろに手当てを受けてきたと思われる女性が3人いた。
「何ですかぁ?何ですかぁ?天元様のお知り合いの方?」
「えっと…?」
困惑してると宇髄さんが言う。
「俺の女房だ!」
「女房?…奥さん?………はっ!くノ一の!!」
言えば皆さん困惑顔で私を見る。
「コイツは時透嫁だ!」
「アンタだったのか、天元様をもてなしてくれたっていうのは!」
「雛鶴ちゃんと、どんな方かと話してたんですよ〜」
「須磨の言った通り純粋そうな子ですね」
宇髄さんの奥さん達は三者三様だった。
気の強そうなまきをさんと、何かと気弱な須磨さん、そして3人の中では冷静な雛鶴さん。
くノ一って言うからもっと無口そうな人達を想像していたけれど、とても賑やかな人たちだった。
*****
おまけ
蝶屋敷に運ばれた翌日に目を覚ました善逸くん。
「善逸くん、心配したよ」
「Aちゃぁぁぁん!」
わーんと泣く善逸くんに気になっていたことを聞く。
「善逸くん戻ってきた時、凄く不思議な格好してたけれどあれ何?」
すると布団に顔を埋めた。
「任務だったんだよぉ、仕方なかったの!聞かないで」と、恥ずかしそうにしていたのでそれ以上は聞くのはやめておいた。
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作者名:月見 | 作成日時:2020年10月11日 5時