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62.ムカつく ページ13

「ほんとムカつく」

帰れと言ったのに帰らない。
いつも言うこと聞かない。

けれど今回は俺が判断を間違えた。
Aに協力してくれなんて言ったから。

言うことは聞かないくせに世話を焼いてくる。

美味しいご飯が用意されていて。
屋敷の中が前よりきれいになっていて。
気が付くと隣にいる。

何なんだよ。
何で泣くのさ。

「お前、今俺に何て言っタァ!?コイツがどうなってもいいのカァ!」

自身に向けられた言葉だと思ったのか鬼が喚く。

ぎりっと締め上げられたA。
体から力が抜けたのか、ぐったりしている。

「うるさいよ…お前。Aから手を退けろよ」

「何だとォ!」

怒った鬼が爪を伸ばして斬りかかろうとしてくる。
好都合だ。

「霞の呼吸 漆ノ型 朧」

伸ばされた爪は確実に俺を狙っていたが、虚しく空を切る。

「なっ、何!?」

「何処狙ってんの?」

「な!!」

「あとさぁ、右腕ががら空きだったよ」

背後に立って告げれば、ようやく人質を取り戻された事に気付いて更に怒る鬼。

俺の肩に担いだ彼女を見せつければ、目を血走らせてこっちを睨んでくる。

「くソォ!」

怒りに任せてまた斬りかかろうとぶんっと振り上げられた腕。
けれどそれも俺を捉えることはできない。

代わりにこちらから鬼の首を切った。

「ぎゃぁぁぁっ」と悲鳴を上げた鬼の首が地面に落ちる。


「意外と簡単だったね」

「くソォ!覚えてろ!!」

「煩いよ。もう終わった。お前の負け」

「ならば!!」

ふっと肩に担いでいた重みが消える。

「え?」

顔を上げれば、くんっと何かに引っ張られるようにAの体が川へ投げ出された。

ばちゃんと大きな音を立てて水が跳ねる。

「Aお姉さんっ!!」

今まで草の影に隠れていたらしい進が駆け寄っていくのを背後で感じた。

「はははははっ!!どうだ!せっかく助けた女が川に落ちた!早く助けないと溺れるゾォ?屈辱的だろう?これで俺は負けてない!俺の勝ちだ!!」

高々と笑う鬼。

「もういいから黙って消えてろよ」

もう何もできないように、やつの首と体に更に刃を通した。

ぼろぼろ崩れて塵になる鬼に目もくれず、川へ走った。


*****


ばちゃばちゃと川に入っていく進を後ろから捕まえる。

「やめろっ!離せ!」

「君にまで溺れられたら面倒なんだけど」

首根っこをつかんで川から出すと自ら入っていく。

腰まで浸かる冷たい水の中、流されながらぐったり浮かんでいるAを急いで抱え上げた。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 時透無一郎   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:月見 | 作成日時:2020年10月11日 5時

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