文書071-3-7 ページ14
黒い仮面は見苦しいために浄化こそ必要ではありますが、非常に満ち足りました。
蹂躙というのは本能に刻まれた愛しい欲なのですが、今の私は"それ"が顕著に出ていますから。
｢…相変わらず、気持ち悪い｣
傍らの職員が吐き捨てるように呟き、濁った目をして力なく横たわっている川崎だったものから目を逸らしました。
聞き捨てならない、と思考する人もいるでしょうが私もそう思いますよ。
楽しいのですけれど、後々に思い返して引いてしまうのも事実ですから。
欲と負の感情を煮詰めたようなどす黒い仮面を作り出したポケットにしまい、職員の方を向きます。
｢…お願いします。多々良、片付けるぞ｣
先ほど呟いていた方の職員が硬直していた隣の職員の肩を叩いて名前を呼び、川崎のもとへ向かいました。
彼女、別に新卒でもなくそこそこの日数出勤はしていましたが安定した作業しかしていなかったのでしょうか。
可哀想に、一体誰がこんなことをしたのでしょう。
｢あ、うん。…そうだね｣
職員が瞬きを繰り返してから何度も頷き、しばらくしてからその言葉に肯定して側によります。
恐らく霊安室まで運び休憩させてから燃やすのでしょう。
私は仕事をこなすだけなのですけれど。
｢ダンタリオンサン｣
彼らとは反対に向いて閑静とした廊下を進もうとすると、呼び止められました。
振り返ると綺麗な顔は狂気的なまでに笑みで塗りたくられ、その声は僅かに上ずっています。
エージェント・シャルドネ。
銀髪に翡翠の瞳が日本支部ではかなり印象的ではありますが、これは今は特に問題なくブーメランとして返ってくるだけでしょう。
今気にするべきなのは彼女が何故声を掛けてきたのか。
それだけでしょう。
｢なんでしょうか？｣
｢ワタシ、ついてきマス。だってゴーストタウンを観測できるのは滅多にないデショ？｣
シャルドネは口だけの笑みを浮かべてにこにこと言い切りました。
身の程知らず、というべきでしょうか。
それとも知的好奇心溢れる脳内お花畑なのでしょうか。
｢…そうですか。命は保証しませんよ｣
シャルドネに対して窓際の埃を見るような目線で見下し、釘を刺しておいたまま踵を返してプルトーネの待つところを目指します。
こうしている間にも彼女は誰かを探して、墓を造って、ゴーストタウンを広げているのでしょう。
別に全滅しても良いのですけれど、それでは川崎は本当にただの生け贄になってしまいますので少なくとも殺しはします。
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菫青(プロフ) - 紫清さん» まず、この世界観に惚れてくれたことが作品の親として本望でした。彼女の在り方や文章は私の好みも含んでいたのですが刺さったということで大変嬉しい限りです。こちらこそコメント、ありがとうございました。 (2019年10月19日 20時) (
レス) id: 62f559e9d8 (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - 急にコメント失礼します、偶然この作品を読ませて頂いたのですが、謎の多く少し不気味な世界観とそれを反映した文章、そしてダンタリオンさんの在り方に惚れました……！ これからも陰ながら更新楽しみにしております。素敵な作品、本当にありがとうございます。 (2019年10月19日 20時) (レス) id: 85ba6a0490 (このIDを非表示/違反報告)
菫青(プロフ) - シャル＠如月唯奈さん» 私個人の趣味を大きく詰め込んだ設定、文章でしたが読みやすいようで何よりでした。こちらこそ参加させていただきありがとうございます。 (2019年9月25日 20時) (レス) id: 62f559e9d8 (このIDを非表示/違反報告)
シャル＠如月唯奈(プロフ) - イベント参加ありがとうございます！早速読ませていただきました。文章も好みでとても読みやすかったです(^-^)この作品の設定もイイ(笑)更新頑張ってください！ (2019年9月24日 22時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菫青 | 作成日時：2019年9月21日 21時
