文書071-3-6 ページ13
彼女の驚愕と絶望が入り乱れた顔は最高に綺麗な(きたない)ものでした。
私が手に触れるのをただ受け入れ、そのまま抉るのを拒んでしまうことはありませんでした。
絶望する顔は良くあれど、驚愕している顔は滅多にありませんしましてや仮面ともなると稀でしたから、
擦ることしかしなかった最期にはもったいない程に良いものに仕上げてあげましょう。
感覚としては心臓をえぐるようなものです。
深層意識に触れるように優しく掴み、乱して最高の快楽を与えるかのように激しく壊す。
えぇ、たったそれだけですからどの化け物に殺されるよりも遥かにマシでしょう?
魂に触れた感覚があった瞬間に引き抜いて肉体から離します。
真っ黒な光であり、炎のように揺らめきたゆたう魂を片手で包み込みました。
いけません、ひどくどす黒い魂を見てしまっては口元が緩んでしまうことは当然ですが、
それにしても気が抜けきってしまっています。
人間らしく愚かなその姿、きちんと仮面にして残してさしあげましょう。
「ふふっ、あはは!最高の出来にしてあげますからね?何も怖くありませんからね?」
やはり出来の良い仮面にするときには私自身の"ノリ"というものも大事でしょうから
愛しい目でそれを眺めながら口だけの笑顔で優しく狂おしく言葉を投げ掛けます。
もう片方の手でを炎を押し潰す形で揺らめかせ、形が不定形になってしまった
それを弧を描くように指先で操って形そのものをいじくり、理想である楕円形の姿で固定化させます。
「あなたの末路は?最期(幕引き)は?私に教えてくださいね。…それくらい、出来るでしょう?」
自我以外何も残っていないその魂に語りかけ、念を押しつつ変化するのを待ちます。
このままではただの楕円を描いた炎ですが、私が語りかけたことにより次第に白い点が
二点、そして更にもうひとつのパーツが現れました。
それと同時に次第に存在が固定されていき、取り残されていた自我ははなれていきます。
これでお面の完成。
どこかでみたような三分クッキングとまではいきませんが、非常に簡単に作れてしまいます。
さて、問題は自我の処理ですね。
「ありがとうございました。…では、さようなら」
触れるということは壊せるということです。
別れの挨拶をしてから片手で握り、もう二度と日の目をみることがないように潰します。
コツとしては肉体が力なく倒れてしまうまででしょう。
川崎は糸の切れた操り人形のように、倒れました。
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菫青(プロフ) - 紫清さん» まず、この世界観に惚れてくれたことが作品の親として本望でした。彼女の在り方や文章は私の好みも含んでいたのですが刺さったということで大変嬉しい限りです。こちらこそコメント、ありがとうございました。 (2019年10月19日 20時) (レス) id: 62f559e9d8 (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - 急にコメント失礼します、偶然この作品を読ませて頂いたのですが、謎の多く少し不気味な世界観とそれを反映した文章、そしてダンタリオンさんの在り方に惚れました……! これからも陰ながら更新楽しみにしております。素敵な作品、本当にありがとうございます。 (2019年10月19日 20時) (レス) id: 85ba6a0490 (このIDを非表示/違反報告)
菫青(プロフ) - シャル@如月唯奈さん» 私個人の趣味を大きく詰め込んだ設定、文章でしたが読みやすいようで何よりでした。こちらこそ参加させていただきありがとうございます。 (2019年9月25日 20時) (レス) id: 62f559e9d8 (このIDを非表示/違反報告)
シャル@如月唯奈(プロフ) - イベント参加ありがとうございます!早速読ませていただきました。文章も好みでとても読みやすかったです(^-^)この作品の設定もイイ(笑)更新頑張ってください! (2019年9月24日 22時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菫青 | 作成日時:2019年9月21日 21時