先生！ゲームがしたいです！ ページ47
フード越しで視線をあげてじっと睨み、そしてもう一度軽く呼吸をする。
｢幾千幾万の罪を重ねたのになぜか断罪の二つ名がついちゃってるエプレとはそれ即ち俺のこと。…で、まだ文句がある？｣
ここまで言ってそろそろ息が切れてきたので深呼吸をしてダミーのカードをぶん投げる。
カードは被害者2号の頬を切って壁に当たり、重力にしたがって落ちる。
きゃー大変切り裂いてしまいました、交渉どうするべきだこれ。
真面目に冷や汗が首を伝う。
巻き込むわけにはいかなかったのだから、なんとか立ち上がる。
そのまま山本の横を無言で通り過ぎ、痺れた足に強く力を入れ立つ。
｢お前、絶対許さねぇ！｣
あ、血管ブチ切れてますねこれ。
挑発しすぎないように調整しないといけないやつっすねくそめんどくせぇ。
｢…どっちが？｣
だがこの被害者2号、怒りに任せて直進するタイプだってことは読めている。
突っ込んできた被害者2号をかわし、肋骨が折れないことを祈りながら蹴り落とす。
鈍い音が響き、被害者2号は無惨にも倒れ気絶した。
ざまぁねぇな、怒りに任せるやつほど早死にするんだよヴァーカ。
俺は一歩下がり、被害者3号に備えようとした。
｢…うっそぉ｣
タイミング悪く何もないところで躓き、しりもちをつく。
ごめんなさい、ここが廃墟一歩手前なの忘れて調子乗っておりました。
足も割と痛い、どれくらいかって言うともうただの靴擦れってレベルには痛い。
…よく考えると我慢できるんじゃね？
立とうとするも、麻痺と動揺でおぼつかない。
｢よくもあの方を！｣
｢あー…マジ？｣
拳が目の前に振り上げられる。
ああもう、動け、動けってんだよこのポンコツが。
こんなところで遅れをとってちゃ叶わないんだよ…。
咄嗟に手をあげ瞳を閉じ、最低限の受け身をとる。
情けない、足が潰れていなければこんなやつ肉体派引きこもりの敵じゃないのに。
逃げてくれて構わないんだよ？
こんなのなら置いてってくれて平気なんだよ？
｢初音｣
いつまでもこない衝撃に違和感があったかと思えば名前を呼ばれ、ゆっくりと目を開ける。
｢ディノ、さん…？それに、あんたら｣
視界に入ってきたのは眩しい光とディノさん達。
ばっかじゃないの、と言いたいのだが驚きで声がでない。
｢もっと早くに助けられればよかった。…ごめん、初音さん！｣
｢っえ、あ、いや、あの…悪いの俺だし…｣
ツナの言葉に困惑して上手く反論が出来ない。
お人好しかよ…。
エプレさんエゴの塊ですし。ドのつくクズですしぃ？→←俺は格好つけられない宿命でも宿ってんのかよ
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作者名：菫青 | 作成日時：2019年9月18日 19時
