天然は可愛いだけが天然じゃない ページ38
ツナが質問してくる。
うん、その通り。
｢またそんなこと言って、なんも知らねぇんだから信じちまうだろ？｣
声に出して肯定してする前にディノさんが否定してくる。
余計なことは口走らない方が己の身のため娯楽のため。
よし、ここは一つ擁護でもしてみようかな。
｢ディノさんはイタリア住みだろ？箸なんか滅多に使わない。なんなら文化から違うしな。じゃあツナ、カレー素手で食えるか？｣
日本人でも伝わるようにするにはこうするしかない。
最近はスプーンとか使ってるって聞くけどそうなったらもう例えられなくなるんだよ。
｢なんとなくわかったけどなんでそこでカレー！？｣
｢だって日本は箸もスプーンもナイフもフォークも全部使うじゃんか｣
｢確かに…なんだ、そういうことなんですね！｣
一人で納得してからディノさんの方を向いて肯定した。
さりげなくディノさんに目配せする。
ウインクなんて綺麗な芸当はできないんだから小さく頷いた。
この間ウインクやろうとしたら両目瞑るか開くかの二択だったからな、二度とやらん。
｢お姉さん、わざわざ注文つけて悪かったね。ありがと、美味しかったよ。今度菓子折でも持ってこよっか？｣
最後の林檎を飲み下し、皿を重ねて渡しながら言う。
ああ、実に美味しかったとも。
しゃりしゃりとしたシャーベットとはまた別の食感、ほのかに感じる甘味、上手く飲み下せるように切られた林檎。
本来であれば林檎ひいては果物について語り尽くしたいところだけれど、それならば大量の資料を用意しないとね。
｢あら、気にしなくて良いのよ？美味しかったなら良かったわ｣
｢うん、構わないのであればお言葉に甘えさせてもらうよ。…じゃあ、僕はかえ｣
｢ママン、初音は泊まってくぞ｣
言葉を遮り、高い声が事実無根としたかったことを言った。
｢おまっ｣
リボーンの発言に振り返る。
こいつ確信犯ですわ！
確信犯ですわ！
｢あら、そうなの？だったらお布団もう一つ用意しなくちゃ｣
｢落ち着いて！俺の家隣だから！徒歩三十秒も満たない距離だから！｣
｢もう、またそんなこと言っちゃって。お隣ならお洋服持ってくるだけだからむしろ問題ないじゃないの｣
お姉さんが予想の斜め上の理論で言ってくる。
｢おおっとその発想は予想外｣
｢遠慮するなよ｣
｢おまいう…卑怯者。わかった、泊まってくよ｣
このままじゃ水掛け論になりかねないしお姉さんの手前強く出られないのもあって折れた。
賢者は学びたがり、愚者は教えたがる。つまり？→←小馬鹿にするのは愛がねぇと出来んよ
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作者名：菫青 | 作成日時：2019年9月18日 19時
