百三十一粒 ページ45
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帰り際、彼はまたこう言った。
「俺も収穫あったし満足かなぁ」
「収穫?」
なんの事だろうと私が聞き返すと彼はイタズラでもするように笑った。
「君が意外と人間らしいって気づけてよかったなぁって。
最初会った時は女神的なものかと思ってたから」
あ、合コンは覗いてね?
君デロンデロンだったから。
…すぅ。
もうそのことは忘れて欲しいのに。
「でも女神じゃないですよ。本当に」
上着を羽織る彼に私は嘘だぁ、とでも言うかのように言った。
「ふふ、知ってる。
でも最初は保母さん的な何かを感じたのよなー。
本当にそう思ったのに、こんなお嬢ちゃんだったとは」
と言いまた彼は笑う。
「あ、むくれないでよ?
…ほんと、大丈夫だからさ。
俺だってそうしたし。
もしひょんなことからリスナーさんと出会って好きになっちゃって。
そのことに気づいてたとしても、多分そのまま落としにかかったと思うよ」
けろっとそんなことを口にする彼。
私とあと数日で1つ違いのお兄さんになる20の彼。
でもその姿は随分と大きく感じて。
「…私、好きなんですかねぇ」
と聞いた。
「いや、それは俺に聞かれても困る」
でもさらっとそれは流されて。
「ふふ、知ってます」
私もさらっと返した。
私は彼を見送る。
「ま、でも一応ちゃんと話して、謝りたかったら謝って。
俺的には大丈夫だと思うから。
るぅちゃんにはきっところちゃんが着いてったはずだし」
まぁ多分あのメンツだったらうまくやれるから、と私の頭に手を置いてポンポンとしてくれる。
信頼関係が目に見えてわかった。
「なーくんが信じたんだから平気。
確かに、ちょっぴり脇が甘い気がしなくもないけど、それでも大丈夫」
俺たちがやばかったら助ければいいわけだから。
最後に彼はそう言った。
「ほら、元気出す!」
玄関で最後にそう言って彼は去っていた。
「…ありがとうございます」
遠くなる彼の背中に私はそう呟いた。
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ゆぅる - しゅうくさんは読者をキュンキュンさせる天才ですか?? (2021年12月6日 22時) (レス) @page11 id: b4dee99bf3 (このIDを非表示/違反報告)
しゅうく(プロフ) - ゆあもんさん» ゆあもんさん…!!神ではないですよ!?でも頑張りますね!ありがとうございます!! (2020年5月17日 11時) (レス) id: 547af1fa67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあもん - しゅうくさん神ですか?私毎回読ませていただいてます!もうねこの作品は神です!これからも応援するので頑張ってください! (2020年5月9日 12時) (レス) id: 9253ce94df (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - しゅうくさん» 全然です!!ご自分のペースで更新されてください!いつまでも待ってます! (2020年4月20日 14時) (レス) id: 3de2eab1b1 (このIDを非表示/違反報告)
あやの♪(プロフ) - しゅうくさん» 応援してます!(^^) (2020年4月19日 22時) (レス) id: 5ba2df906e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゅうく | 作成日時:2020年3月17日 23時