七十六粒 ページ37
.
寒い。
まぁ、当たり前だ。
まだ夜は肌寒いこの季節、上着を忘れてしまった。
どこに行くわけでもなく歩いていると公園が見えた。
…自販機で何か買おう。
私がどうこうできる問題でもないのだ。
落ち着け。
だって、私なんかがどうにかできていたら彼は悩んでいないはずだから。
でも、そう思った時また気づいた。
…私、もりさんならきっと大丈夫だってまた思ってる。
ついこの前、無理してないかな、だなんて言っていたくせに。
心のどこかではきっと大丈夫だって思っている自分がいたのかもしれない。
馬鹿じゃん、私。
そのもしかしたらが本当だったのに。
彼があんな嘘をつくとは思えない。
私にあれを送る理由もない。
きっと、きっと、あれは日記だったんだと思う。
日記は本来なら自分しか読まない自分の本音が書かれたもの。
だからきっとあれは彼の本音だったのだ。
何かのアクシデントで私がその本音を覗いてしまっただけで。
ほら、お酒を久々に飲んだからとか。
間違えて送ってしまったとか。
そんな本音を覗いてしまった後でも私はきっと大丈夫だなんて思っていただなんて、ほんと、大馬鹿者である。
きっと今は私の頭も回っていない。
なにか飲んで落ち着いて帰ろう、そう思って公園に足を踏み入れた。
「え…?」
気づきもしなかった。
もりさんがブランコに体を任せていただなんて。
正直、声をかけていいのかも分からなかった。
でもここに放っておいたら消えてしまいそうで。
「もりさん?」
私は声をかけたのだ。
大丈夫ですか?
でもそう続けようとした私の言葉は、彼によって遮られてしまった。
「俺の事、やっぱりななもり。だったから拾ったんだよね?」
.
1065人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しゅうく(プロフ) - ゆにぃさん» ありがとうございます(´;ω;`)やっと幸せにまとまりました…! (2020年3月17日 23時) (レス) id: 547af1fa67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆにぃ - え、泣きました() (2020年3月17日 20時) (レス) id: 68d7e1f8f1 (このIDを非表示/違反報告)
しゅうく(プロフ) - ハルカさん» わー!ごめんなさい…こんなシリアスシーンに…ご指摘ありがとうございます! (2020年3月14日 20時) (レス) id: 547af1fa67 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ(プロフ) - すみません私も誤字してしまいました (2020年3月14日 20時) (レス) id: 796bfd041b (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ(プロフ) - 誤字です痛いところを疲れた思った となってます さっきなんて、なんで となってます (2020年3月14日 20時) (レス) id: 796bfd041b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しゅうく | 作成日時:2020年2月19日 23時