31 ページ31
海「俺ぇ、ギターとか絵とか色んな趣味あるけど、実は1番長く続いてるのってダンスなんだよねぇ。職業にしたいってワケじゃなかったから仕事はデザイナーにしたけど、今でも踊るのは大好きだよ!!」
『すごい!ホントにすごかったよ!!』
海「カッコよかった?」
『すっごく!!!』
海「…なら良かった!
Aさんのこと考えながら踊ったんだ。」
微笑む海人は、私を連れてそのままお店を出た。
ゆりかもめの窓から外を覗けば、水面にいろんな色の光が揺れているのが見える。
まるで、星が落っこちて来たみたい。
帰り道の彼は、あまり言葉は多くなかったけど
家が近づいて来た時、よく晴れた冬の空を見て
ふっと目を細めた。
海「ねぇAさん。
俺…恋をしたら、辛い夜や切ない夜って絶対に来ると思うのね。そーゆー時、もし月が見えたら、俺のこと思い出して?」
『月?』
海「そう!今日みたいな牴叱きで半分こ″の月だと1番いいね!なんだか見守られてるみたいじゃない?」
なんて言うんだっけな、こういう月。
そうだ、確か…
牴叱垢侶遏蹇
海「この形の月を見たら、牾た佑ついてるんだ″ーって思い出してよ。
そしたらそのうちに朝が来て、きっとまた頑張れるから。…それでも頑張れない時は電話して!約束だよ!」
海人が振り返り、いつも通りの柔らかな笑みを見せる。
私も微笑み返す。
それを見た海人が、安心したように軽く首をかしげる。
ほんの触れる程度に手を重ねたまま、家までの道をぶらぶらと歩く。
電気の消えた家々が並ぶ路地にはもうクリスマスのイルミネーションは見当たらず
冬の真夜中の住宅街はまるで、白と黒の世界。
さっきよりもはっきりと見える猗省こ″の月が、子どものように手を繋いで帰る私たちのことを
見守るように、淡く照らし出していた。
程なく着いた、馴染みの社員寮。
海人は私の家には上がらず、手を振って隣の部屋へと帰って行った。
きっともう、海人が「ただいま」と、この部屋に来ることは無いんだろうな…と
キッチンに残されたままのホールケーキを眺めながら、ぼんやりと思った。
2234人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きのこ(プロフ) - ゆり:)さん» 気づくのが遅くなりました!さーせん!通知来てねぇぞ?(怒)おかわりしはは、ありがとうございます!白米は旅館で出るので、そのあとに布団の中でもっといいもの与えてあげて(自主規制) (2020年10月14日 11時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり:)(プロフ) - 久しぶりのしはは。感無量。良い子で平らげる廉さんに白米たくさん与えたい。ありがとうございました! (2020年10月5日 3時) (レス) id: 4c9de357d4 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - ななかわさん» わーありがとうございます!微妙にノリの軽いチャラ廉は私もお気に入りですww好きになってもらえて嬉しいですヽ(´▽`)/たまーに質問頂くんですが、書いてる時は別にキュンともギュンともしませんww淡々としたもんで、全然潤わないですww (2020年4月16日 16時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
ななかわ(プロフ) - きのこさんの作品でこちらが一番好きです。終始ドヤ顔風で、得意げにぜったい俺に惚れた!って思うれんくんを想像したらめちゃくちゃかわいかったのに、まさか真顔( ˙-˙ )で書いてらしたなんて……笑 (2020年4月16日 10時) (レス) id: fe68b6cd78 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - みずほさん» いえいえ、お話はお暇なときに読んでもらえれば十分ですよ!Black Jokeもハマってもらえて嬉しいです(^^)つい先日無事に完結しましたので、また思い出した時にでも覗いてもらえれば嬉しいです! (2020年4月16日 0時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きのこ | 作成日時:2020年1月16日 23時