Brulee 2【Ren.N】

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この2週間、心血注いで作った資料の発表が終わった。お堅い教授からも褒められた。



「特に永瀬は今大変だったろ。
よくやったな。」



寝不足で死にそうな顔が、思いがけずええ方に働いたらしい。



廉「いやいや、西井さんに胸借してもろただけですぅ〜。」


　
ビジネススマイルで返すと、隣でAがめっちゃ嫌そうな顔で俺を見てるのが分かる。


くっくっく。


ほんま飽きひんわぁ〜。



授業が終わった後、クラスの友達に囲まれた。




「廉、今日の発表わかりやすかったよ！
仕事しながら、すごいじゃん！」



廉「ありがとぉ〜。
バリしんどかったわぁ。」
　


「でもさー、廉くん、最近西井さんとばっか一緒にいたよねぇ。」



廉「え？」



「たまにガッコー来ても、いっつも2人で図書館行ってさぁ。今朝も一緒に来たよね？
発表も、なんか仲よさそうだったしぃー。」




あ、これあかんヤツや。
長年の爆モテ経験で分かる。


俺のいないところで、面倒なことが起こるパターン。
ここで鎮火せな、Aに迷惑かかる。




廉「そんなん、番号順で指名されたんやもん。
仕方ないやん。俺だって来れる時に単位取っとかんと、この先しんどいし。
西井さんにはホンマ世話んなったけど、発表終わったら多分よう絡まんと思うわ。」



「あー、そーだよねー。西井さんだもんねぇ。
それよりさぁ、年末ってやっぱ紅白出るの！！？」




ふー、良かった。上手く鎮火できたっぽい。
さすが俺。




けどふと視線をずらした先に、表情の無い顔でこちらを見つめるAを見つけた。







あかん。
聞かれた。





　


ちゃうねん。俺にはわかんねん。



この先あと2年、Aが学校でつまらん思いしなくていいように、嘘でも俺の口から言わなきゃあかんことがあんねん。




Aが教室から出て行く。




今すぐ走って追いかけたい。
腕を掴んで、違う！って叫びたい。




でもそんなことしたら、さっきの嘘がパーや。
もっとひどい噂になる。
下手したらSNSに書かれて、拡散される。





廉「ごめん、これから仕事やねん。
またな。」





適当に会話を区切って教室を出たけれど
Aの姿は、もうどこにも見えなかった。

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