いつかのあの言葉 ページ35
＊
階級はさらに上がって乙になった
新しい呼吸の糸口は見つかっていない
焦りが蓄積される…
近頃 母上の体調が良くない
杏寿郎は11歳 千寿郎ももう3歳だ
父上も様子がおかしい
何やら思い詰めているようだ
家事は俺がするようになった
杏寿郎は千寿郎の世話を率先してやることが増えた
『母上…体調は如何ですか』
「大丈夫ですよ…
ごめんなさい…焦凍…貴方も忙しいのに…」
母上のお膳を下げに行ったとき ふと そんなことを言われた
何も母上が悪いわけではないのに
『俺は大丈夫です…
千寿郎が寂しがっていました
杏寿郎も…です
早く良くになって 2人に元気な姿を見せてあげて下さい
あと…父上の悩みを聞いてあげて下さい
最近 何か思い詰めているようなので…』
「…貴方はいつも…他を優先しますね」
母上は寂しそうに言った
「杏寿郎にも話しましたが…
何故 貴方が人よりも強く生まれたか…
いいえ…"強くなったのか"…わかりますか」
『俺は…これ以上 俺と同じ想いをする人を出さないために…
他者を守るために…強くなりました』
「そうです…
貴方はそのために強くなった
努力という才を持った素晴らしい子です
生まれついて人より多くの才に恵まれた者は
その力を世のため 人のために使わねばなりません
努力で得た才で…
天から賜りし力で人を傷つけること 私腹を肥やすことは
許されません
他者を守ることは強き者の責務です
責任を持って果たさねばならない使命なのです
決して 忘れることなきように」
『…確と心に刻みました』
悟ってしまった…母上はもう長くはないのだと
頭に手を添えられ そっと抱き寄せられた
「それと 誰かを頼ることを覚えなさい…
厳しくも優しい子の母になれて幸せでした」
その5日後の朝だ…
母上が目覚めることはなかった
＿＿＿＿＿
母上が死んだ
母という存在を見送ったのは…此れで2回目だ
父上は泣崩れ 物言わぬ母上の亡骸に縋り付いていた
俺はかける言葉さえ見つからず
ただただ弟たちを慰めるばかりだった
半年が経つ頃には父上は酒に溺れた
俺は我武者羅に任務に当たるようになった
その方が何も考えなくて良いからだ
杏寿郎は1人で鍛錬をすることが増えた
千寿郎は内気な子になっていった
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ゆぎ(プロフ) - 雨色の水滴さん» ありがとうございます！頑張って考えた甲斐がありました。他の話も書いてるので是非！これからも応援よろしくお願いします!! (2021年6月9日 2時) (
レス) id: 0bf1aaca6b (このIDを非表示/違反報告)
雨色の水滴 - 轟君かっこよすぎー！！後、技名のセンスが凄いです尊敬します。（真顔） (2021年6月8日 20時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぎ(プロフ) - とこよさん» いや…ちゃんと見たらアレで良いんでした…水の呼吸の横水車的なくくりです。 (2021年4月18日 23時) (レス) id: 0bf1aaca6b (このIDを非表示/違反報告)
ゆぎ(プロフ) - とこよさん» あ"！ホントだ…ありがとうございます！気づかなかった… (2021年4月18日 23時) (レス) id: 0bf1aaca6b (このIDを非表示/違反報告)
とこよ - 陸ノ舞の後にある、銀世界・告鳥って〇ノ舞とかつかないんですか？ (2021年4月18日 9時) (レス) id: 1a67d02ee8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆぎ | 作成日時：2020年5月27日 14時
