イチャニウオハウ ページ45
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-夜-
私たちは春の食材をたっぷり入れた
春一番に食べたいオハウを作った
アシㇼパ「切り身にしたサクラマスを焼いて、皮をむいたフキノトウの茎とフキとギョウジャニンニクを入れて味付けをする。」
アシㇼパ「春に食べる汁物で一番美味しいイチャニウのオハウだ!!」
鍋の蓋を開けると
イチャニウのオハウのいい匂いがチセ中に広がった
杉白「「いただきます!!」」
さっそくお椀によそっと渡すと
杉元さんと白石さんはイチャニウのオハウを頬張る
アシㇼパも2人に負けじとたくさん食べ始める
アシㇼパ「ん〜ヒンナヒンナ!!」
杉元「うまい!!」
杉元「辛かった
キロランケ「長い冬を乾燥した食材で乗り越えたから、どこのコタンでも新鮮な青物が食べられるのがとても嬉しい季節なんだよ。」
杉元「フキもほろ苦いけどやわらかくてうまいな!!」
アシㇼパ「甘くてほろ苦い春の味だ!!」
私たちはイチャニウのオハウを残さず平らげた
.
そして...
アシㇼパ「フゴッ...」ｽﾔｽﾔ
アシㇼパは夕食後直ぐに寝てしまった
今日も1日動いていたから疲れているのだろう
私は毛布をアシㇼパにかけた
杉元「そういえば...」
杉元「キロランケは奥さん心配じゃねえのか?」
杉元「そろそろ畑耕すのに馬が必要な時期だろ?」
春になり
女が忙しくなる季節...
キロランケニㇱパもひと月ほど自分のコタンへ帰っていない
杉元さんはキロランケニㇱパに奥さんを心配しているかを聞いた
キロランケ「あの村にはアイツの親兄弟が沢山いる。」
キロランケ「それに働き者で強い女だから子供たちも任せられる。」
キロランケニㇱパは奥さんの事を誰よりも理解しているし、信頼もしている
本当は寂しいのだろうし、心配なのだろう
けどお互いが信用し合っているからこそ任せられるのだろうか
まさにステキな夫婦だ...!!
白石「で、なんだよその顔。」
杉元「ああこれか?」
そういえばアシㇼパが
やけに薬草や包帯が欲しいと言っていたなあ...
『これは...イタドリの若葉とヨモギの葉ですね。』
『全て傷に効く薬草です』
『その上に塗ってあるのは熊の油でしょうか。』
杉元「アシㇼパさんに塗られたんだ。」
杉元「俺は傷跡なんてどうでもいいけど...」
アシㇼパには杉元さんがこれ以上顔に傷を入れてはいけない何か事情があるのだろうか...
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作者名：檜枝 | 作成日時：2020年3月9日 22時
