第32話 (3.4 12時更新) ページ9
ゆらぁりと保健室に入ってきたのは、神切遺斗だった
いつもの軽薄な態度はなりを潜め、何を考えているのか分からない黒目が雪を見つめていた。眼の下の隈がより一層不気味さを醸し出している。思わずひょえ、と悲鳴を上げた雪は悪くない
ツカツカと早歩きで寄ってくる叔父にベッドの上だということも忘れ思わず後ずさる
ガッと肩を掴まれたかと思うと、次にフワ、と優しい衝撃が雪を襲った
突然のことに戸惑っていると、グスグスと泣き声が耳元で聞こえた
「いぎでて…っ、よがっだ！」
いつもの叔父とは思えない声色だった
叔父が泣いているのを見るのは何時ぶりだろうか。義両親の葬式の時だって、気を張って涙を見せることは無かったのに
やがて遺斗は小さな寝息を立て始めた
やれやれ、とでも言うようにやって来た老婆は雪に隣のベッドに遺斗を寝かせるように命じ、起きる様子のない彼を確認してから先程まで相澤が座っていた椅子に腰掛けた
相変わらず心配症な男だね、と呟く老婆に新たな疑問を抱く
「叔父様とお知り合いなんですか？」
と尋ねると、呆れたような視線が返ってきた
「まぁ、思い出せなくても無理はないね。そんな事より、まだ傷が治ってないんだ。もう少しお眠り」
体を倒してやると直ぐに穏やかな寝息を立て始めた少女に、老婆ー否、リカバリーガールは安堵した
10年前のように、怯えた目でこちらを伺わなくなったのは大きな成長と言えるだろう
全身にあった青痣や生傷は痕にもなっておらず、名前の通り
感傷に浸るリカバリーガールだったが、そんな暇は彼女に訪れないらしい
大怪我をした緑谷が運ばれて来ると、彼女は静かになった保健室から抜け出した
第33話 何時の時代でも→←第31話 題名考えるの飽きましたﾄﾞﾔ
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ROCK Down LOVE(プロフ) - 箱さん» 素敵だなんて！！ありがとうございます！今月の22日辺りに再開する予定なので気長にお待ちください！ (2022年12月8日 19時) (
レス) id: 5591b512d9 (このIDを非表示/違反報告)
箱 - ステキな作品を書いてくれてありがとうございます (2022年12月7日 18時) (レス) id: e97eef8072 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Rock down Love | 作成日時：2022年10月3日 17時
