第五十四 ページ6
あの、王座奪還の騒がしい日々が終わって約三ヶ月が経つ。
大王様からも、信からも全く音沙汰無し。
正直、漂がここにいない今私が王宮にいる意味は無い。村へ帰ると言うと大王様に後宮に移れと言われ、私は今後宮にいる。
後宮での生活は居心地のいいものとは言えない。
王座奪還の話が広まっていることで、ここでは私への態度が二つに別れているから。
大王様と何日も共にした事で仲がいいと勘違いされ、そのおこぼれを貰おうと必死に気を使う人。
下僕のくせに大王様の近くにいて汚らわしいとゴミ扱いする人、だ。
ヒソヒソと噂をしたり、あからさまに態度に出され避けられる。
「ねぇ、ここの掃き掃除やっててくれない?下僕なんだから掃除慣れてるでしょう?」
今日も一人で掃除を押し付けられた。
夕「……はぁ、帰りたい。」
そう呟いた時だ、「ねぇ、」と声をかけられ振り返ると無言で文を渡された。
(ん?昌文君さん?)
今夜、迎えに行くゆえ部屋で待機しろ。そう書かれてあった。
文をもらっただけ。なのに、妙に周りがザワついている。ヒソヒソと話す声に耳を傾けた。
「え、あの子が今夜の夜伽?」
「私でもまだなのに、何故下僕の分際で?」
「少し顔が良いからといって調子に乗っているわ。」
(あぁ、もううるさい。だから村に帰りたかったのに。)
あらゆる視線、あらゆる声が耳に入ってくる。
嫌気がさして掃除を放り投げようとした時だ。
「貴方が夕さんよね?」
横から声がかけられ見れば、頭の高い位置に髪で二つの輪を作って明るい着物来た子と、その子の後ろに隠れながらチラッと此方を伺うツリ目の子がいた。
また何か言ってくるのかと懸念した私は低い声で「そうだけど。」と答えた。
すると彼女はパァッと笑顔になり勢いよく手を握ってきた。
「やっぱり!貴方の事噂で聞いていて、ずっと話してみたいと思ってたの!」
彼女は陽、そして後ろが向と言うらしく、私を見る目が二人は周りの人達とどこか違った気がした。
私が放り投げようとした掃除仕事も手伝ってくれた。
陽「ねぇ、やっぱりさっき渡された文って夜伽の事?」
夕「わ、分からないけど今夜迎えに行くから待てって昌文君さんから。」
陽「絶対そうだよ!」
うわぁ〜私も早くお呼ばれしたいなぁ〜と羨ましがる陽ちゃん。先程、周りからも聞こえた"夜伽"と言う聞きなれない言葉を疑問に思い聞いてみた。
夕「……夜伽って何?」
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モモ(プロフ) - メッセージが続いてしまいごめんなさい。この作品のお陰でキングダムの漫画を読んでみよう!と思いました。これからも応援しています。次の更新がいつになるかわかりませんが、とても楽しみにしています。 (8月15日 22時) (レス) id: a95e8dfc3d (このIDを非表示/違反報告)
モモ(プロフ) - すみません...。慣れていなくて先程、書き終わらないままメッセージを送信してしまいました。私は最近キングダムの映画を見てこの小説に出会いました。とっても大好きです!!作者様が今はどうかわかりませんが、私は今高校生で生活の息抜き、楽しみとして読んでいます (8月15日 22時) (レス) id: a95e8dfc3d (このIDを非表示/違反報告)
モモ(プロフ) - はじめまして! (8月15日 22時) (レス) @page10 id: a95e8dfc3d (このIDを非表示/違反報告)
ままま - めちゃくちゃ面白いです。最近映画の最新作を見て、キングダム最熱しておりました。その折にこの小説に出会い一気に読んでしまいました。続きが気になりどうにかなりそうです。暑い日が続く昨今ですが、どうかお体には気をつけてご自愛のほどお祈りいたしております。 (7月31日 15時) (レス) @page10 id: c2c76806e1 (このIDを非表示/違反報告)
星の空(プロフ) - 心さん» ありがとうございます。これからも頑張ります(^^) (2022年9月23日 11時) (レス) id: 7bf82b942c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星の空 | 作成日時:2020年3月21日 22時