＊ ページ6
.
それからまあ、俺のシフトが変わらずその人がコンビニに大体週4で通うようになって2ヶ月ちょっとが過ぎた。ここは褒めて欲しいんだけどさ、一回ランチ？したんだぜ。あの〜コンビニのフードコートみたいなところでさ、一緒に昼飯食った。すげえだろ。それに、もうこの頃は俺、この人のこと好きだなって思ってた。仕事はやっぱり肉体労働職らしくて、あとヒーローの噂にとても詳しい。タバコはたまぁに吸うらしくて、個性は秘密。あと、これは聞いた話じゃなくて普通に俺が見て、顔が可愛くて胸が大きめ。
はは、まあ聞いとけよ。これ、俺の片想いが終わった話だからさ。
.
その日はとにかく暇で、でもその人が来る日だったから期待してた。俺がソワソワしはじめたくらいで丁度その人が来て、でも後ろには男がいた。なんていうんだろな、チクチクしてそうなバニラ色の髪の毛とポケットに手を突っ込んでる猫背が無駄に似合ってる男。いかにも無愛想で、その人と男はまかり間違っても恋人とかなんかそうゆうのじゃないっぽくてひとまず安心。そそくさとレジへ向かうと、スイーツコーナーにしゃがむその人と横に突っ立っている男が見えた。あの人が両手に持ってカゴに入れようとすると男はカゴをひょいっと持ち上げて子供の菓子の買い過ぎを窘める親のように、一直線にレジへ来た。
「あっただろが、それ」
「は？幻覚見んなよ」
……？いやこっちが幻覚を見た。いや幻聴。え？だって、ほら、この人こんな、え？こんなに口悪かった？え？？いや、いやいやいや悪くなかった。砕けた口調だったけど丁寧で、と考えているうちに男が怪訝そうな顔で俺を睨んだ。
「あ、す、すみませ」
「ああ！どうも、爆豪って、睨むんじゃねえよ」
いかにも飲み会のつまみの品のバーコードを読み込むうちに、なんか、ああ、と思った。この人って、口が悪いのか。丁寧なんじゃなくて俺に対して他人行儀だっただけか。そっか。そしてこの男は他人、じゃないのか。
「おい、買わんでいいんか」
男が唐突に口角を上げて隣のあの人を見つめた。本当に見つめたってのが正しいくらいに。ぽけっとしてその人は沈黙した後、舌打ちをしてクソ、と吐き捨ててその人にしては大きめの作業服を男に押し付けて出て行った。男はハッと笑った後、少し後ろに下がって新しい商品を取ってきてレジに置く。スキン、ゴム、避妊具。色んな呼び方のあるソレを会計してレジ袋に入れた男は、ドーモ、と薄く笑って店を出て行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 102人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
無気力感(プロフ) - 花帆さん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけてとても嬉しいです〜！シリ…もある……？ない…？いやもうそれはよくわからない……笑 これからもよろしくお願いします！ (2019年3月26日 22時) (
レス) id: b33f570211 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 面白くて一気に読ませて頂きました！かっちゃんの日記萌えます(*´艸｀*) 日記をつけてる意味などを考えると、シリアスな展開もあるのかな…？なんてハラハラしつつも、かっちゃんとの日常にときめきます(*´ω｀*) (2019年3月14日 5時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：無気力感 | 作成日時：2018年11月20日 15時
