俺のクソ愛しい彼女日記。【爆豪勝己】

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光原side


「盆休みもクソもねえ」


爆豪は、そうぼやきながらレンタルカーのトランクを開けた。

確かに今日は世間一般ではお盆だし、お盆といえば休みだし、ヒーローは公務員なのでお盆は休みなのが当たり前なのだが、敵が相手な以上向こうも「よし、今日はお盆だから犯罪は止めようかな」とか思うわけではない(むしろ増える)。


なので、爆豪の言うことに頷いた。
今日は午前がオフで、午後から被災地復興支援の為の祭りに駆り出されるだけだったはずなのだが、いうて午前も敵が一般道で大暴れしたので里帰りもせず子供もいない私と同期が応援要請を受けた。どこの事務所でも一緒なのだろう、奇しくも現場には同級生や見知った顔が多かったように思う。

だが、「今日休みだって言われてたのに朝から働いてもう無理〜！これから祭りの手伝いとか無理！寝る！」…などとほざける訳ではない。ヒーローなんて仰々しい名前を貰ってはいるが、公務員だし、会社員である。それに、被災地で大々的に宣伝されたヒーローの復興支援をすっぽかしたともなれば、朝一で怒られた元担任からもまた怒られるし、事務所からも大目玉くらうし、幼馴染からも長時間のお叱り電話が来る(焦凍は私を叱る時に電話で長々と話す)。



キャベツを両手に三玉ずつ持ちながら7往復目の、車から被災地の小学校までの道のりを歩く。中庭に停めた車から小学校の裏側まではそこそこ遠い。反対側を突っ切れればクソ程近いのだが、小学校特有の自然空間があり、池やメダカがいるらしいのでそれもできない。災害の大雨で流れてねえのか？と思ったりもしたがおっとりした顔の校長先生から「子供達が頑張って作ったところなんです」と言われてしまえばヒーローとして、人として焦凍に凍らせてもらおうか、なんて口が裂けても言えなくなった。

それこそこんな時にお茶子がいてくれれば良かったのだが、残念、とても残念なことに今日ここに集まったヒーローは車で一緒に搬入した4人と、独立したばかりの(これも残念ながら名前を存じ上げない)3人と、ベストジーニスト事務所の面々、後から緑谷が来るらしい。どちらかと言えばみんな対人、戦闘系の個性なのでだらだらとそれはもう見苦しい程に汗をかきながら、食材機材を運ぶ。


今の時刻、午前10時半。太陽の熱視線と照り返しで控えめにしていた化粧もどろどろになり、なんだかなあと思った祭りの3時間半前の事である。

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