episode5 ページ5
夏休み。
高校生になって初めての夏なのに私は予定が無い
花火大会が三日間あるから4人で行く約束はしている
しかしそれもお盆の話
「…暇だなぁ」
何処か遠くに出かけたい気分になる時がある
行き先も決めずに電車の終点までとか
知らない土地の海とか
開放感を味わいというやつなのか
若気の至りというならば今のうちにやっておきたい
が、そんな勇気も行動力も無く
ひたすら家に籠っているのが毎年だ。
「…アイス」
夏や冬など関係無くアイスが好き
だから家に帰る前に近所のコンビニに寄って帰ることはしょっちゅう。
暑くて溶けそうなアスファルトの上を駆け足でコンビニまで急かした
♪〜
ひんやりと汗を乾かすクーラーに思わず笑みがこぼれる
寄り道せずに入り口の側にあるアイスボックスを覗いた
「…え。」
不意に声に出てしまった
いつも食べているジャイアントコーンが無い
あるにはあるが、青色がない
ショックでかい…
私の中でダントツで一位に降臨している
はあ…一気に足が重くなった…
『何へばりついてんの』
「…うわっ!」
無気力な顔で声のする方に向くと吉沢君が立っていた。
な、何でいるの
『あ、あった。俺これ好きなんだよね』
彼が選んだのはパピコのアイス
これは友達といる時にしか買わないもんなぁ…
『買うやつないの?』
「…売り切れてて」
『あらら、じゃあ半分こする?』
え?
"ありがとうございましたー"
パキッ
『はい』
「…ありがとうございます」
キンキンに冷え切ったパピコに口をつける
んー…生き返る。
『いつもはこれ一人で食べたんだよなー』
「え、一人で?」
『プチ贅沢?』
…割と変わってる人なのかもしれない
こんなイケメンがプチ贅沢がこれって…
『ユキはイチゴが好きだよなー』
「…あぁ、そうですね」
『いかにも興味ない顔すんなって』
だって本当に興味が無い
そんな好きな食べ物まで女の子らしいなんて
本当に嫌いだ
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Y H(プロフ) - 完璧でない夢主ちゃんなんて初めて見て、とても引かれました。 (2019年11月14日 20時) (レス) id: f0597afb21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:君との時間。 | 作成日時:2018年12月21日 17時