シャングリラ【吉沢亮】 (ページ13)

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episode13 ページ13

「吉沢さんどこでバイトしてるの？」
『お好み焼き。』

意外だった。
私の高校の最寄にあるチェーン店で働いてるそう。
この顔だからお客さんにキャーキャー言われてるんだろうなあ…

『Aちゃんは？』
「私はしてないよ」
『じゃあ、いい機会かもね』

笑って私に言う。

『自分が何かできるってところ、家族に見せつける機会だと思うよ』
「…」

吉沢さんは魔法使いか何かなのか
私の言って欲しい言葉、全部言ってくれて

…帰ってアルバイト探そう

『はい、到着。』

今日も家の前まで送ってくれた。
ゲームセンターまで行くまでは長く感じたのに
どうして帰り道はこんなに早く感じてしまうんだろう

もっと話したいのに、仲良くなりたいのに

「…ありがとうございます」
『じゃあ、またね。』

多分、怖いんだと思う

吉沢さんとこれ以上仲良くなって
好きだとばれて、フラれるのが怖い

「あ、あの」
『ん？』
「…私、変われますか。お姉ちゃんみたいに、綺麗で明るくなれますか？」

本当は嫌いなんかじゃない
私は嫉妬し続けていたんだ、姉に対して。

自分のもっていないものを全部持っている姉に

『…誰かみたいじゃなくて、AちゃんはAちゃんだと思うよ。』

私なんかじゃなくて
私が、綺麗になる

そうしなければ何も変わらないんだ